2014 Fiscal Year Research-status Report
神経幹細胞に由来するヘテロ細胞集団をパターニングするための弾性足場作製技術の開発
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26420799
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 英樹 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30450894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正之 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50344172)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コラーゲン / ハイドロゲル / 血管内皮細胞 / 紫外線照射 / パターンニング / 粘弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はUV光照射によってハイドロゲルの粘弾性を部分的に調節し、アストロサイト、ニューロンや血管内皮細胞をそのハイドロゲルへ接着させ、パターン形成させることを目的としている。コラーゲンゲルにUV光を直接照射したところ、架橋剤の添加なしでも照射時間に依存してコラーゲン分子間の架橋が認められ、UV光の照射によって破れにくいハイドロゲルへと変化した。これらのハイドロゲルの表面を原子間力顕微鏡で観察し、UV光を照射したゲル表面でも網目状のコラーゲン線維を確認した。また、血管内皮細胞の接着性もUV光の照射時間に合わせて大きく変化した。コラーゲンゲル上のUV光照射部分と非照射部分で細胞の接着性に違いが生じ、細胞のパターンが形成された。血管内皮細胞の接着、増殖性を調節するためのコラーゲンゲルへのUV光照射時間を設定した。ポリビニルアルコール(PVA)ゲルはPVA濃度や放射線架橋の程度を変化させることで粘弾性を調節できる。完全けん化型PVA3.75%から15%濃度の水溶液を作製し、コバルト60線源からの放射線照射10kGy-40kGyによってPVAゲルを作製した。培地の吸収性や体積変化が少なく細胞培養基材として利用できるPVAゲル作製条件を決め、ゲルの硬さを評価するために圧縮試験機を用いて粘弾性を測定した。神経幹細胞はPVAゲル表面に接着し、細胞クラスターを形成した。また、硬いゲルほど接着した細胞はクラスターから展開する傾向を示した。今後は複数の細胞種を同一平面上でパターン化できるようにゲル表面の改良やプロトコルの開発を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りにハイドロゲル上へのUV光照射によって粘弾性の異なるハイドロゲル表面を作製した。予想通りの細胞の接着・増殖性は示さなかったものの、血管内皮細胞の単純な接着パターンが形成された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに神経幹細胞から分化誘導した細胞を用いて細胞の接着性や伸展度の評価をおこなう。また、複雑なUV光照射によるパターンニングも試みる予定である。
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Causes of Carryover |
ハイドロゲルの粘弾性評価を優先したため、複雑なパターンを作製するためのフォトマスク等の装置購入を次年度以降に予定をずらしたことで残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降、神経幹細胞から分化誘導した培養細胞を用いた細胞接着性評価の結果を確認しながら、より複雑なUV光照射パターン作製を試みるため、その装置作製や消耗品の費用として使用する。
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