2014 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレスに着目した生活環境因子と低線量放射線との健康影響の比較
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26420872
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山岡 聖典 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (00314683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 隆浩 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (40509832)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラドン / アルコール / 酸化ストレス / 肝臓 / Nrf2 / NIK |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は放射線による健康不安を適切に払拭するため,放射線により受ける酸化ストレスを他の環境因子から受けるそれと比較定量化し日常生活に関連づけることにより,公衆が低線量放射線の健康影響を分かり易く理解してもらうことを目的としている。このため,低線量放射線照射によるマウス肝臓への酸化ストレスの程度とアルコール投与によるそれを,転写因子NF-E2 related factor 2(Nrf2)の発現量などから比較評価することを内容としている。26年度の成果として,Nrf2はアルコール投与により減少傾向にあるが,ラドン吸入では変化がなかった。また,ラドン吸入やアルコール投与により,酸化ストレスに伴うNF-kB-inducing kinase (NIK )が増加傾向にあることもわかった。さらに,ラドン吸入によりNIKの下流のIκB kinase (IKK)にも増加傾向のあることがわかり,ラドン吸入により抗酸化機能などが亢進するのは少量の酸化ストレスによるものであることが強く示唆できた。これらの所見などから,ラドン吸入とアルコール投与では肝臓に与える酸化ストレスが前者は少量,後者は多量と大きな違いのあることが定量的に明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の現在までX線照射についての本格的な検討は必ずしも充分でないものの,アルコール投与とラドン吸入によるNrf2などの変化により両者の酸化ストレス量に差異が認められたことなど特記すべき事項が得られ,達成度は順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降,マウスへのX線やラドンの曝露による肝臓中の酸化ストレスの程度を,Nrf2やNIKのタンパク質の発現量などをより詳細に分析し,比較検討する。また,血中1.25(OH)2ビタミンD濃度など関連指標も分析し,低線量の場合の癌増殖の制御との関係についても明らかにする。得られた成果・所見などから,肝臓における被ばくによる酸化ストレスの大きさとアルコール投与によるそれが定量化でき,被ばくによる健康影響を他の生活環境因子の代表格である飲酒のそれに比較して評価することが容易となる。
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