2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular research of non-histone lysine methylation in cancer epigenome and its potential as a therapeutic target
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26430116
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邉 すぎ子 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (10433012)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DNA損傷修復応答 / クロマチン / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの発生、進展において、ゲノム異常と共にエピゲノム異常が重要な役割をもつ。通常の細胞では細胞周期チェックポイント機構が働き、細胞死が誘導されうるゲノムストレス下でも、がん細胞はクロマチン構造を変化させて適応し、ときにはその悪性化を加速させることもある。このがん特異的なエピゲノム構築は、DNAメチル化、ヒストン修飾とその認識タンパク質、クロマチン因子および転写調節因子等様々な因子の連携によってなされているが、詳細な分子制御機構は不明な点が多い。 本研究では、クロマチンの構造制御に重要な役割をもつタンパク質のリジンメチル化に焦点をあて、がん細胞の抗がん剤感受性の分子基盤であるDNA損傷修復応答の制御機構の解明を行った。細胞に抗がん剤が作用すると、クロマチン因子はメチル化の制御を受け、細胞応答に重要な役割を持つ。その鍵となるリジンメチル化酵素を、 siRNAを用いたスクリーニングで同定し、リジンメチル化特異的認識抗体を作成した上で、その特異性を検証した。さらに DNA損傷応答におけるクロマチン因子の相互作用解析によって、リジンメチル化の機能的意義を明らかにしている。 DNA損傷修復応答におけるエピジェネティックな分子機構は医学・生物学上で極めて重要な点であり、抗がん剤曝露時のがん細胞におけるメチル化・脱メチル化による選択的エピゲノム制御の解析は新たな治療標的や治療戦略をみいだすための基盤研究である。その解明により、既存のDNAメチル化阻害薬や脱アセチル化阻害剤治療では十分な効果が上がらなかったがん病態の局面にも効果を発揮しうる、エピジェネティック作動薬開発の可能性が十分に期待でき、社会的・医学的に意義のあるものであると考える。
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Research Products
(5 results)