2015 Fiscal Year Research-status Report
血中循環がん細胞解析を利用した小細胞肺癌の新規治療標的・バイオマーカーの同定
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26430142
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木村 英晴 金沢大学, 医学系, 助教 (40444202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 寿郎 金沢大学, 医学系, 准教授 (30272967)
曽根 崇 金沢大学, 医薬保健総合研究科, 准教授 (30420334)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / 循環腫瘍細胞 / 血中DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
【小細胞癌のCTCの濃縮および回収】前年度にISET法であるRosettesep(Stemcell technologies)を用いたCTC回収法の評価を肺癌細胞株を用いて行った。CTCの全回収はできなかったが、濃縮は可能であると判断した。本年度は患者血液を用いた検討を行った。CTC回収の評価は、回収された細胞から抽出されたDNAを用いてがん細胞由来の遺伝子異常を検出することで行った。EGFR遺伝子変異を有する肺腺癌患者2名と、p53変異を有する小細胞肺癌患者2名の血液を用いて行った。EGFR陽性肺腺癌患者1名からは腫瘍組織と同様のEGFR遺伝子変異を検出することができたが、他の患者からはがん由来遺伝子変異を検出できなかった。現方法は、CTCを用いた遺伝子異常解析を進める上で適さないと判断した。現方法を改良するかもしくは他方法へ変更するか、いずれかの研究方法の変更を検討する必要がある。 【循環血中微量DNAを用いたがん由来遺伝子変異の検出】抗悪性腫瘍薬治療を受けた肺癌患者6例のの血漿から抽出された血中循環DNAを用いて、がん由来遺伝子変異の検出を行った。遺伝子変異の検出は高感度なDroplet digital PCR法(ddPCR)を用いた。治療経過の複数ポイント(治療前、治療1日後、2日後、7日後、28日後)で検体を採取した。 治療直後に変異コピー数が一時増加し、経過とともに減少する症例が4例、治療直後に変異コピー数が減少する症例が1例あった。当初の目的とは異なるが、血中循環DNA中のがん由来遺伝子異常の変動が治療効果など臨床的特徴と関連している可能性が示唆され、新たな研究仮説に結びつく結果となった。 【次世代シークエンサーを用いた循環血中微量DNAの遺伝子異常解析】上記で得られた循環血中DNA中の肺癌関連遺伝子変異を次世代シークエンサーを用いたLung Cancer Panel(QIAGEN社)にて解析し、結果を得ることができた。微量DNAを用いて解析を行うことは可能であると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するにあたり以下の項目を行ってきた。1)研究計画書の作成と承認。2)CTC回収および濃縮方法の確立。3)微量DNAの濃度測定方法の確立。4)微量および低頻度な遺伝子変異の検出方法の確立。5)CTCを用いた遺伝子解析。 本年までに上記の1), 3), 4)は達成できている。2), 5)に関しては順調に進行しており、研究期間内の達成が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、以下の研究を進め、当初の目的を達成する予定である。 具体的には、1)CTC回収方法の確立、2)CTC由来DNAを用いた遺伝子異常解析、3)CTCドロップシステムを用いた遺伝子異常、遺伝子発現検出系の確立、4)CTCドロップシステムを用いた小細胞肺癌CTCの新規バイオマーカーの解析、5)小細胞肺癌の新規治療標的、新規バイオマーカーの提唱、である。 現在のところは、上記1)に関してさらに検討を進める必要がある。2)以降に関する予備実験はほぼ終了しており、1)が確立できれば順調に進むことが期待できる。
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