2015 Fiscal Year Research-status Report
アジュバント機能が包含された人工タンパク質抗原を用いたがんワクチンの開発
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26430172
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 正紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80297366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 定 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50192323)
小井戸 薫雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (70266617)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TLR-4 / 抗原提示細胞 / 樹状細胞 / マクロファージ / 人工タンパク質抗原 / MolCraft / OVA / 細胞性免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
アジュバントの機能は、抗原の取り込みを促進する物理アジュバント機能と、抗原提示細胞の成熟を促す信号アジュバントの機能に大きく分ける事ができる。我々は、「MHC class Iエピトープ」、「class IIエピトープ」と「構造支持配列」を組合わせ的に重合することで、従来使用されているアルミニウム塩やオイルアジュバントを使用せずに細胞性免疫を誘導できる人工抗原の作製法に成功している。すなわち、タンパク質の構造を最適化する事で、物理アジュバント機能を抗原自身に賦与できる事を明らかにした。(平成22年度~平成23年度、挑戦的萌芽研究、機能的ペプチド配列から構成される人工蛋白質を用いた腫瘍免疫法の開発)(PLoS One.2014; 9(10):e110425) 本課題では、この研究をさらに発展させ、物理アジュバント機能に加えて、信号アジュバント機能をも包含した人工タンパク質抗原を創製し、それ単独で腫瘍免疫を強力に誘導するがんワクチンの開発を目指している。 H27年度は、人工タンパク質創製システムMolCraft法を用いて、モデル抗原としてOVA (ovalbumin)を用い、TLR-4アゴニスト・リガンド・モチーフ、MHC class I、class IIエピトープ、αヘリックス構造形成配列を組合わせ的に結合し、これらのモチーフが、様々な組合せ、様々な長さに結合した人工タンパク質を作製した。これらのタンパク質がTLR-4を介してNFkBシグナルを活性化し、アジュバントとして機能するために必要な炎症性サイトカイン産生する事を確認した。 H28年度は、マウス実験により、人工タンパク質抗原がin vivoにおいても信号アジュバント機能を発揮できるか検証する。さらに、腫瘍抗原にこの技術の応用展開を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OVA(ovalbumin)をモデル抗原として、抗原の取り込みを促進する物理アジュバント機能を有する人工抗原 (F37A)を作製している。(PLoS One.2014; 9(10):e110425) 本課題では、物理アジュバント機能に加えて、抗原提示細胞の成熟を促す信号アジュバント機能を有する人工抗原の創製を目指している。TRL-4アゴニスト・リガンド・モチーフとして、Shanmugam A.(PLoS ONE 2012 7(2): e30839)らが報告しているモチーフを結合した人工タンパク質を作製した。HEKBlue (Invivogen, hTLR-4)を用いて、TLR-4に結合し、NFkBシグナル伝達経路を活性化する人工抗原をスクリーニングし、複数の陽性クローンを得た。さらに、これらの人工タンパク質抗原が、抗原提示細胞に炎症性サイトカイン産生を誘導できる事を確認した。LPS(lipopolysaccharide)用いずに、タンパク質抗原のみで、TLR-4を活性化する事が可能である事を実証できた。これらの人工抗原が、in vivoにおいてもTLR-4活性化能を有しているかどうか今後検証する必要があるが、研究は、当初の計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度、TLR-4アゴニスト・リガンド・モチーフを組込んだ抗原から、TLR-4を活性化し、炎症性サイトカイン産生を誘導する人工タンパク質抗原を創製する事ができた。 H28年度は、マウスを用いたin vivo実験で、得られた抗原が、抗原提示機能と抗原提示細胞の成熟化機能の、両方の機能を備えている事を確認する。 創製された人工抗原の抗原提示細胞成熟化機能に、TLR-4が必須である事を、TLR-4ノックアウトマウスを用いて明らかにする。 モデル抗原で得られた結果を基に、腫瘍抗原、ウイルス抗原などに本技術の応用展開を目指して行く。
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Causes of Carryover |
H27年度 研究物品費の残額が、購入予定の試薬代金に不足だったため、H28年度の物品費と合計し、研究に必要な試薬を購入する事とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度の未使用金は、H28年度の物品費と合わせて、研究に必要な試薬の購入にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)