2014 Fiscal Year Research-status Report
ミスフォールドタンパク質細胞内封入体の統一的命名理論の構築
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26440090
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 朗 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 助教 (10580152)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / タンパク質封入体 / ストレス顆粒 / TDP43 / 浸透圧ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞内封入体を形成させるために,神経変性疾患の一種である筋萎縮性側索硬化症 (ALS)の責任遺伝子産物であるTDP43を緑色蛍光タンパク質 (GFP)と融合した形で発現誘導することができるマウス神経芽細胞腫株 (Flp-In TReX-Neuro2A-TDP43WT/A315T-GFP)を樹立した.また,TDP43のアミノ酸315番目のアラニンがトレオニンに変異したALS関連アミノ酸変異型TDP43-A315Tの株も樹立した.この細胞株では,当該遺伝子がゲノム中に一カ所のみ挿入されていることから,野生型とA315T変異体との転写量が一定であり,タンパク質の発現量を純粋にその性質として解釈することができる.この株を用いて野生型と発現量をウェスタンブロットにより比較したところ,発現量に変化は見られなかった.また,細胞内で封入体を形成するかを共焦点蛍光顕微鏡により観察したところ,発現誘導72時間でも封入体はまったく形成しなかった.このことは,ALS関連変異であるA315Tが入っても,TDP43タンパク質の封入体形成効率に大きな影響を与えないことが示唆された. 次に,TDP43の封入体形成を誘導するために,培養液にスクロースまたはNaClを添加することで細胞に浸透圧ストレスを与えたところ,ストレス顆粒 (Stress Granule: SG)と呼ばれる細胞内封入体構造が観察された.SG形成後,通常培地に交換して浸透圧ストレスを取り除いたところ,NaClを用いた場合には細胞死を誘導される効率は低かったのに対し,スクロースでは細胞死が多く観察された.このことき,浸透圧ストレスによる細胞のダメージはNaClのほうが低く,以後の実験を行いやすいことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞株の樹立,実験条件の確立といった基礎的な検討事項を行っていたため,封入体局在の定量には至っていない.この点は速やかに進展させるべきものと考えている.しかしながら,実験条件の確立は以降の研究にきわめて重要な前提であり,おおむね順調に進行していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
ストレス顆粒の形成条件が確立できたことから,この封入体が細胞保護的なものか否かを調べるために,発色団補助光不活性化法 (CALI)を用いて,ストレス顆粒または封入体を生細胞内で時空間的にノックダウンし,その後の細胞生存性を観察する. また,TDP43のカルボキシル末端断片25 kDaであるTDP25は,TDP43よりもミスフォールディングしやすいことから,封入体を効率よく形成させるためにTDP25の利用も検討する.
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Causes of Carryover |
年度をまたぐ時期に論文が受理され投稿料の支払い用に金額を準備しておいたが,実際は4月以降の請求となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿料は請求され既に支払い済みのため,使用計画に変更はない.
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Research Products
(8 results)