2015 Fiscal Year Research-status Report
ペルオキシソームタンパク質輸送における分子ネットワークの解明
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26440157
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
真野 昌二 基礎生物学研究所, 多様性生物学研究室, 助教 (20321606)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペルオキシソーム / タンパク質輸送 / シロイヌナズナ / apem変異体 / タンパク質間相互作用 / Peroxin / GFP / ゼニゴケ |
Outline of Annual Research Achievements |
ペルオキシソームは、植物のみならず胴部や酵母など真核細胞に存在するオルガネラで、植物では、脂肪酸代謝や光呼吸、活性酸素種の除去など様々な機能を担っている。これらのペルオキシソームの機能が低下すると、種子の発芽不全や個体の成長抑制、配偶子認識異常、種子の稔性低下など植物の生育異常を引き起こす。ヒトにおいてもペルオキシソーム機能の欠損は重篤な遺伝子疾患につながり、酵母では特定の炭素源培地でしか生育できなくなることから、個体の維持にはペルオキシソームの機能が必須であることが明らかになりつつある。ペルオキシソームは独自のゲノムをもたないため、構成するタンパク質は全て核遺伝子にコードされている。そのため、ペルオキシソームの様々な機能の発現には、遺伝子発現後の正確なペルオキシソームへのタンパク質輸送が重要である。しかしながら、その分子機構は十分に理解されていない。本研究では、ペルオキシソームへのタンパク質輸送に関わる因子群の分子ネットワークを明らかにし、植物機能を支えるペルオキシソーム機能発現を分子レベルで理解することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
apem変異体における植物個体への影響、特に配偶子認識に関わるペルオキシソーム変異による影響を明らかにすることができた。apem2/PEX13 などのペルオキシソームタンパク質輸送に異常をきたすシロイヌナズナ変異体では、過酸化水素濃度が異常になっていることをイメージング解析により明らかにした。 ゼニゴケを用いた解析では、Citrine-PTS1 および RFP-PTS2 を発現させてペルオキシソームを可視化させることに成功した。このことは、陸上基部植物であるゼニゴケにおいても、PTS1、PTS2のタンパク質輸送経路が保存されていることを示している。ゼニゴケの実験を遂行するにあたり、プロモーター置換が可能な30種類以上のゼニゴケ用 Gateway ベクターを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
シロイヌナズナにおけるペルオキシソーム因子の BiFC によるタンパク質間相互作用の実験結果をまとめるとともに、ゼニゴケの因子においても相互作用解析を進める。ゼニゴケにおけるタンパク質輸送の分子機構を明らかにするため、既にペルオキシソームが可視化された形質転換体を親株として、シロイヌナズナ因子のホモログと推定される因子をコードする遺伝子を CRISPR/Cas9 の系で破壊して、その影響を明らかにする。既に、CRISPR/Cas9 のコンストラクションは終了して、現在、形質転換を進めている。
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Causes of Carryover |
平成27年度の5月に研究室の引っ越しがあり、新たな研究室のセットアップ等に時間がかかってしまったため、実験に用いる消耗品などの使用量も減少した。セットアップ後、研究は順調に進み始めたので、本来、平成27年度に使用予定であった経費の一部を次年度に使用することで、本申請課題をさらに発展させていく。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでに解析してきたシロイヌナズナのペルオキシソーム因子の相互作用解析と、新たに同定したゼニゴケにおけるペルオキシソーム因子の相互作用、および CRISPR/Cas9 により遺伝子破壊された変異体の表現型を明らかにする。 CRISPR/Cas9 のコンストラクト作製は本年度において完了しており、平成28年度に直ぐに形質転換できる状況にある。翌年度分として請求した助成金と合わせた研究費は、植物の生育と分子生物学実験を行う技術支援員の雇用費、実験用の消耗品、実験結果を論文としてまとめるための英文校閲費や投稿料、学会発表を行う際の旅費に充当する。
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[Journal Article] Phosphorylation of the C-terminus of RHD3 has a critical role in homotypic ER membrane fusion in Arabidopsis.2016
Author(s)
Ueda, H., Yokota, E., Kuwata, K., Kutsuna, N., Mano, S., Shimada, T., Tamura, K., Stefano, G., Fukao, Y., Brandizzi, F., Shimmen, T., Nishimura, M., and Hara-Nishimura, I.
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Journal Title
Plant Physiology
Volume: 170
Pages: 867-880
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Dynamics of the light-dependent transition of plant peroxisomes.2015
Author(s)
Goto-Yamada, S., Mano, S., Yamada, K., Oikawa, K., Hosokawa, Y., Hara-Nishimura, I., and Nishimura, M.
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Journal Title
Plant and Cell Physiology
Volume: 56
Pages: 1252-1263
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Physical interaction between peroxisomes and chloroplasts elucidated by in situ laser analysis.2015
Author(s)
Oikawa, K., Matsunaga, S., Mano, S., Kondo, M., Yamada, K., Hayashi, M., Kagawa, T., Kadota, A., Sakamoto, W., Higashi, S., Watanabe, M., Mitsui, T., Shigemasa, A., Iino, T., Hosokawa, Y., and Nishimura, M.
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Journal Title
Nature Plants
Volume: 1
Pages: 15035
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Dynamics of peroxisomes and oil bodies based on imaging approach: Molecular players, mechanisms, and roles in metabolisms2016
Author(s)
Mano, S., Oikawa, K., Goto-Yamada, S., Shibata, M., Cui, S., Hayashi, M., and Nishimura, M.
Organizer
第57回日本植物生理学会年会
Place of Presentation
岩手大学(岩手県・盛岡市)
Year and Date
2016-03-18 – 2016-03-20
Invited
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[Presentation] Chaperone and protease functions of LON protease 2 modulate the peroxisomal transition and degradation with autophagy2016
Author(s)
Goto-Yamada, S., Mano, S., Nakamori, C., Kondo, M., Yamawaki, R, Kato, A., and Nishimura, M.
Organizer
第57回日本植物生理学会年会
Place of Presentation
岩手大学(岩手県・盛岡市)
Year and Date
2016-03-18 – 2016-03-18
Invited
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