2016 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical and empirical studies for compensatory molecular evolution
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26440202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長田 直樹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (70416270)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子進化 / 集団遺伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA塩基配列やタンパク質アミノ酸配列において,二つ以上の突然変異が互いに補い合って適応度を保つように進化することを補完的分子進化と呼ぶ.これまで多くの場合で想定されてきたのは,補完的な変異が同時に集団中に現れて集団中に固定する,中立補完的分子進化であったが,本研究計画では,まず弱有害な効果が集団中に固定し,その後それを補完する適応的変異が固定するという弱有害補完的分子進化について,どのような分子メカニズムが存在するか,また,現実に存在する分子データから存在の大きさが確かめられるかについて検証を行った. 最初に,弱有害補完的分子進化の例としてDNA配列やアミノ酸配列に置換が起こり,その後もとの状態に戻る逆方向突然変異(バックミューテーション)について考察を行った.このような突然変異は歴史的に突然変異率の推定にも用いられており,多数のゲノム配列を解析することによって,弱有害補完的分子進化が生物のゲノムでどれだけ普遍的に起こっているかを調べることができるだろう. また,弱有害補完的分子進化の影響は,集団サイズが急速に減少し,多くの弱有害変異が広がっている集団で大きくなっていると考えられる.そのような集団の例をさぐるため,モーリシャス島において少数個体から爆発的に増加したカニクイザルの全ゲノム集団解析を行った.その結果,進化的に保存されたサイトに起こっていたにもかかわらず頻度が高くなっていた変異が,ボトルネック後に急速に取り除かれ,祖先型アリルが再び急速に集団中に広まった例が観察された.この現象は逆方向突然変異と同様な現象が起こったことを示唆している.
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Research Products
(7 results)