2016 Fiscal Year Annual Research Report
Map-based cloning of salt tolerance gene and its utilization for improvement of salt tolerance in soybean
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26450013
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
許 東河 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 主任研究員 (90425546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 哲也 北海道大学, 農学研究院, 講師 (70374618)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ダイズ / 耐塩性 / 遺伝子 / 単離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ダイズの耐塩性QTL領域の5,828個体の分離集団を用いて耐塩性遺伝子の高精度マッピングを行った。その結果、ダイズ耐塩性遺伝子(Ncl)を第3染色体の16.5 kbの領域に特定した。この領域に一つだけの遺伝子が存在することから、耐塩性の候補遺伝子を確定した。遺伝子の機能を確認するため、Nclと35Sプロモーターに連結し、形質転換体を作出した。得たT2世代の形質転換系統54-1-1と系統20-1-4は高い発現量と高い耐塩性を示し、Nclはダイズ耐塩性の原因遺伝子であることが確認された。また、後代検定とサザン解析より単コーピの遺伝子を導入した形質転換固定化系統(T6)を選抜した。さらに、同定した遺伝子の特性解析の一環としてレポーター遺伝子(GFP遺伝子)を導入した形質転換ダイズ系統を作出し、独立した3つの外植片に由来するT1の17個体からT2種子を獲得した。PCRで目的遺伝子が導入された個体を選抜し、Ncl-sGFP形質転換ダイズにおいてGFPの根特異的な発現を確認した。 ダイズ耐塩性の原因遺伝子Nclを決定した後、Nclの発現パターン、Na+、K+およびCl-の蓄積の制御などの機能解析を行った。その結果、Nclは耐塩性ダイズ系統の根で恒常的に発現していることが分かった。Ncl はNa+/H+アンチポーター遺伝子と高い相同性を示したものの、ダイズ植物体地上部のNa+、K+、Cl-濃度を同時に抑制することを明らかになった。今後の課題としてこの遺伝子がCl-濃度を制御する機構を究明する必要がある。 単離した耐塩性遺伝子Nclに対して実際のダイズ耐塩性育種で耐塩性の効果を検証するため、戻し交配とDNAマーカー選抜により、Nclを感受性ダイズ品種Jacksonへ導入し、BC3F3世代を獲得した。耐塩性評価の結果、Nclを導入した系統は、元親品種Jacksonよりも高い耐塩性を示した。このことより、Nclは、DNAマーカー選抜などの分子育種の手法で既存ダイズ品種への導入は可能であることが実証された。
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Research Products
(1 results)