2015 Fiscal Year Research-status Report
イモゾウムシの配偶行動を介した行動制御機構の解明と雄の性的能力増強への応用
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26450067
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
熊野 了州 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90621053)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イモゾウムシ / 不妊虫放飼法 / 行動制御 / 配偶行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
雌が複数回交尾を行う多くの動物では,雄は自身の父性を高めるため,配偶者の再交尾抑制や寿命を縮める物質を交尾時に精子と共に送り込み交尾後の雌の行動を制御する手段を持つことが知られている.動物の最も本質的な 行動の1つである配偶行動を防除手段として利用する不妊虫放飼法では,不妊雄による野生雌への強い行動制御により防除効果の向上が期待できる.本研究ではサツマイモの難防除害虫であるイモゾウムシの不妊虫放飼効果の向上のため,行動制御機構を,性的対立における共生細菌との共進化という従来にない視点で取組む.平成27年度は前年度に引き続き(1)微量元素ルビジウムを利用したICP-MSによるオス射精物の定量化と(2)イモゾウムシ共生細菌除去系統の飼育法確立に取り組んだ.その結果,サブテーマ1に関するルビジウムを混入した人工飼料を利用した飼育と交尾実験のサンプルは概ね確保した.またサブテーマ2に関し,共生細菌が完全に除去されていないトラブルが発生したものの,その後問題を解決し飼育を順調に進めている.前年度取り組んだ「オスのコンディションによる雌の行動制御の変化の解明」に関する原著論文執筆を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属変更に伴い,研究室の立ち上げ,植物防疫法で特殊病害虫に指定されるイモゾウムシの飼育施設の設備の確保と移動申請等に時間がかかり,計画した研究スケジュールに比べ進捗が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属変更という予期せぬ研究環境の変化生じたため,研究の進捗は現在予定より遅れ,すべての研究テーマの実行は時間的に難しいと考えている.特に,テーマ2ー実験4で予定していた「雌を強く制御するオスを生産するための人工飼育法開発」に関する実験を完了させることは困難と考えている,一方で,共生細菌を除去した系統を利用することで,イモゾウムシのオスの求愛頻度が変化する可能性があることが予備調査で示されている.本種のオスの求愛行動の解明は.本研究が目的とする本種の配偶行動を通じた行動制御機構の理解に直接的な関連する重要なテーマである.オスの求愛頻度に関するデータは,従来予定していた実験と並行してデータが取得できるため,本来の研究テーマの進行を阻害することはなく,今年度はこちらのテーマに関するデータも併せて取得したい.
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Research Products
(7 results)