2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450078
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 優 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60281101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木野内 忠稔 京都大学, 原子炉実験所, 講師 (90301457)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホウ素 / 細胞壁 / ペクチン / ラムノガラクツロナンII / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素の結合座であるペクチンのラムノガラクツロナンII(RG-II)領域が形成される過程を解明するため、細胞分裂時に合成される細胞壁前駆体である細胞板にRG-IIが存在するかを、免疫組織化学の手法により検討している。前年度までに、免疫電子顕微鏡観察により、タバコ培養細胞の細胞板と推定される構造上に抗RG-II抗体によるシグナルが検出されることを示した。27年度は免疫蛍光染色の手法を用い、抗カロース抗体-抗RG-II抗体二重染色、あるいは抗チューブリン抗体-抗RG-II抗体二重染色を行うことで、この構造が細胞板であることを確認した。この結果から、RG-IIは分裂中の細胞の細胞板にも存在することが明らかとなり、ペクチンのホウ酸架橋は細胞壁形成の最初期段階でも形成され得ることが示唆された。更に、抗カロース抗体と抗RG-II抗体によるシグナルは近接して存在するものの完全には重ならないことから、カロースとRG-IIの細胞板上での局在は異なることも示唆された。 またホウ素が欠乏し細胞壁ペクチンが架橋できない場合の植物の応答について解析した。シロイヌナズナの培地からホウ素を除去すると、根の伸長領域において1時間以内に細胞死が発生する。このように迅速な応答が生じる機構を明らかにするため、各種薬剤による細胞死の軽減について検討した結果、活性酸素の生成・蓄積、カルシウム流入、細胞膜の張力変化が応答に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で中性子捕捉反応に利用する予定であった京都大学の研究炉は、26年度の施設定期検査に際して運転停止した後、原子力規制委員会による新規制基準への適合確認審査が長期化しており、現在も運転再開に至っていない。このため27年度は中性子捕捉反応によるホウ素の局在性分析を実施することができず、当初計画に比べて遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究炉は28年度中には運転再開する可能性が高いので、実施できていなかった中性子捕捉反応を利用した解析が再び実施可能になると考えられる。捕捉反応によって生じる中性子飛跡痕の可視化条件などは炉の停止中も検討を進めていたので、再稼動後は、それら予備実験で得た知見をもとに効率的に解析を進める。
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Causes of Carryover |
京都大学原子炉実験所の研究炉が運転停止中のため、中性子捕捉法によるホウ素の組織内局在分析を実施できず、これに使用する予定であった研究費(物品費、旅費等)が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は研究炉が稼動する見込であり27年度に実施予定であった研究も繰り下げて実施する予定である。当該研究に使用予定であった未使用分の研究費はその研究に使用する。
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