2014 Fiscal Year Research-status Report
O.minuta酵母の基礎生物学を進めるための遺伝学的基盤解析系の確立
Project/Area Number |
26450111
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
横尾 岳彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 主任研究員 (60358306)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 靖典 独立行政法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 上級主任研究員 (00357500)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | メタノール資化性酵母 / 接合 / 胞子形成 / 自律複製配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタノール資化性酵母 Ogataea minuta において自在な遺伝学的解析を可能とすべく、有性生殖が可能な株を確立し、また、染色体に組み込まれることなしに自律的に複製可能なプラスミドの構築を行うことを目的とする。平成 26 年度は、以下のような研究を行った。
O. minuta NBRC 10746 株が a 型もしくはα型のどちらの接合型であるかを、RT-PCR 法により調べた。その結果、本株では MATa1 遺伝子が発現しており、a 型であることがわかった。いっぽう、NBRC 10746 株を改変して作製した YRI1 株では、MATa1、MATα1、MATα2 のすべてが発現しているという結果が得られた。これらの株の MAT 遺伝子座付近の塩基配列を詳細に検討したところ、この酵母種では MAT 遺伝子座を挟むように逆向き反復配列が存在し、この箇所に逆位を生じることにより接合型の相互変換が起こることが明らかになった。また、この逆位による接合型変換は、栄養培地での培養中に生じることが明らかになった。RT-PCR の鋳型となる DNA を単離するための培養時に、YRI1 株では接合型変換が生じた集団が出現した結果、先述の結果になったと考えられる。
O. minuta ゲノム上の自律複製配列(ARS)をプラスミドに挿入することにより、染色体上に組み込まれることなしに酵母細胞内で複製可能なプラスミドを構築することができる。これを実現するため、O. minuta のゲノム DNA を染色体組み込み型プラスミドに挿入したライブラリを作製した。このライブラリを O. minuta 株に導入し、プラスミドを染色体に組み込むことなしに保持している株をスクリーニングすることにより、ARS の候補となる DNA 断片を 11 種類得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記述した研究実施計画におおむね沿った形で研究が進められているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね今の方向性を保ちつつ、さらなる研究の進展を図る。
|
Causes of Carryover |
雇用期間の関係で、平成 26 年度に人件費として想定していた額を実際の使用額が下回ったため、次年度使用額となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成 27 年度においては、次年度使用額の分を充当して研究補助者を当初計画していた期間より長く雇用することとし、研究の加速を図る計画である。
|