2015 Fiscal Year Research-status Report
澱粉を環状イソマルトオリゴ糖に転換する酵素系の生産・制御機構解明
Project/Area Number |
26450133
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
舟根 和美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品生物機能開発研究領域, 主席研究員 (90353953)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環状イソマルトオリゴ糖 / 環状イソマルトオリゴ糖グルカノトランスフェラーゼ / αグルコシダーゼ / 不均化酵素 / GH family 31 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状イソマルトオリゴ糖グルカノトランスフェラーゼ(CITase)生産菌Bacillus circulans T-3040株を、LB培地にグルコース、スクロース、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、デキストリン、でんぷん、デキストランの各種炭素源を加えて培養した結果、CITase はデキストラン、イソマルトオリゴ糖、でんぷんでのみ誘導され、DGaseはデキストランとでんぷんでのみ誘導された。Paenibacillus sp. 598K株は上記炭素源ではデキストランでのみCITaseとDGaseが誘導された。598K株ではさらにプルランでもCITaseとDGaseの誘導がみられた。両菌株ともCITaseの誘導にα-1,6グルコシド結合が必要であるが、T-3040株は低分子糖でも誘導されるのに対し、598K株は高分子糖が必要であった。CITase誘導については両菌株ともグルコースの添加による誘導阻害は無いが、DGaseは、T-3040株では阻害が見出され、598K株では阻害が無く、差異が見られた。また、E9最少培地にグルコース、イソマルトオリゴ糖、デキストランを加え、T-3040株と598K株を培養し、菌体外タンパクを二次元電気泳動で解析した結果、いずれも炭素源により生産タンパクのパターンが異なった。一方、598K株にCI結合タンパクおよびデキストラナーゼと推定される遺伝子が見出され、これらをクローニングした。抗生物質耐性菌取得によるリボソーム工学的手法でT-3040株については野生型の1,000倍CITase活性が上昇した変異株が取得できたが、DGase活性は上昇しなかった。598K株については野生型の5倍CITase活性が上昇した変異株が取得できたがDGase活性については未確認である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度に計画したB. circulans T-3040株、Paenibacillus sp. 598K株についての各種炭素源によるCITase、DGase 誘導の有無は予定通り測定できた。T-3040株および598K株をCITase、DGase 誘導条件、非誘導条件で生産されるタンパクを二次元電気泳動して、生産されるタンパクに差異があることが明らかになった。DNA塩基配列のさらなる検索で、598K株には、T-3040株に見出せなかったCI結合タンパクおよびデキストラナーゼと推定される遺伝子が見出され、これらをクローニングすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、27年度に行った二次元電気泳動の結果を基に、CITase、DGase 誘導条件、非誘導条件で、CITase、DGaseの発現に連動して顕著に増加、あるいは減少したタンパク・酵素をタンパクのN末端配列を解析することによって同定し、それらについて諸性質を調べる。27年度にクローニングしたCI結合タンパクおよびデキストラナーゼと推定される組換えタンパクを発現・精製・緒性質を明らかにし、CIの生産、取込み、代謝との関連性を考察する。27年度に得られた抗生物質耐性菌について、CITaseおよびDGaseの生産量をそれぞれの抗体を用いたウェスタンブロッティング等により解析し、生産誘導の変化について評価する。
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Research Products
(1 results)