2014 Fiscal Year Research-status Report
フルオラスケミストリーの新展開に基づく実用的分子合成手法の開拓
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26450145
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
松儀 真人 名城大学, 農学部, 教授 (90324805)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フルオラスケミストリー / テフロン / 相間移動触媒 / サレンMn錯体 / 共溶媒効果 / 不斉エポキシ化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者がフルオラスケミストリーの新知見として蓄積した合成技術(ミディアムフルオラスケミストリー)を基点とし、今年度は、フルオラス触媒の疎水性制御を基盤とした合成プロセスの効率化に向けて活性化固体触媒の調製とプロセス改良を中心に研究を展開した。具体的にはメタセシスGrubbs-Hoveyda 2nd generation触媒と第一世代Jacobsen型サレンMn錯体の活性化、及び固相化をミディアムフルオラスタグやテフロンを利用して試みた。その結果、以下の研究成果を得た。①固相と液相間をブーメランの様に自由に移動するテフロン担持型メタセシス触媒を見出し、本固相触媒による効率的な炭素-炭素結合形成反応系を達成することができた。本触媒反応系では、当該触媒が反応中は反応媒体にテフロン固相から流出溶解し、均一反応系であるが、反応後には水の添加によりテフロン担持型固相触媒として回収できる効率の良い反応系である。②ミディアムフルオラスサレン Mn錯体を用いる不斉エポキシ化反応において、benzotrifluoride (BTF) の反応系内への添加がエナンチオ面選択制を上昇させる現象を見出すと共に、酸化活性も顕著に向上させることを見出した。BTF の本共溶媒効果の起源を詳細に調べた結果、キラルサレン骨格の決まった位置にフルオラスタグを有するサレン型錯体のみに観測される効果であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目的として、固相-液相間移動型のメタセシス触媒反応系の構築を掲げていた。今回フルオラス触媒の入念なフッ素含量制御を試みながらテフロンパウダー担持型の新規フルオラスメタセシスGrubbs-Hoveyda 2nd generation 型触媒の調整に成功し、固相-液相間をブーメランの様に行き来するリサイクル型メタセシス触媒反応系の構築に成功した。本触媒反応系では、反応中は均一触媒反応であるにも関わらず、反応後には濾過操作のみで触媒を回収できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究での目的は「フルオラスケミストリーの新知見として蓄積した合成技術(ミディアムフルオラスケミストリー)を基点とし、有用な生物活性物質の立体異性体や類縁体を手際よく高効率で迅速に合成できる実用的分子合成技術を開拓することである。今後は、「固相-液相間移動型フルオラスメタセシス触媒」を活用する prodigiosin の環状類縁体合成や、フルオラスFmocエンコード法による emericellamide A 立体異性体の簡易合成を中心に展開する予定である。
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