2016 Fiscal Year Research-status Report
フルオラスケミストリーの新展開に基づく実用的分子合成手法の開拓
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26450145
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
松儀 真人 名城大学, 農学部, 教授 (90324805)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天然物 / 全合成 / フルオラスミクスチャー合成 / フルオラス Fmoc / メタセシス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はフルオラスFmocエンコード法による emericellamide A (抗MRSA活性) の8種類の立体異性体の全合成、並びに高活性型フルオラスGrubbs-Hoveyda型触媒の開発に主眼を置き、研究を遂行した。その結果、以下の成果を得た。 アミノ酸のフルオラスFmoc保護体混合物を出発原料としたペプチド伸長反応を行い、ペンタペプチド体まではフルオラスミクスチャー合成にて問題なくペプチド鎖伸長が可能である事を確認した。本ミクスチャー合成では、リシン等の親水性官能基を有するアミノ酸使用時でもフルオラスHPLC分取が可能であることも明らかにした。また、今回のミクスチャー合成で新たに得られたペプチド類の ACE 阻害活性について調べ、これまでに知られていない高阻害活性を有するトリペプチド体を見出した。 マルチグラムスケールでの emericellamide A(及び異性体)のフラグメント合成にも取り組んだ。昨年度までにフラグメント合成は成功していたが、不斉中心が一部エピメリ化していたため、ラセミ化しない条件検討を行い、再度、各フラグメント合成を行った。現時点で、フルオラスFmoc基により不斉中心をエンコード化した4種類のペンタペプチド混合物(8個の立体異性体)のフラグメント、並びに環化するための対応ユニットとなるアラニン由来フラグメントの合成に成功している。今後、高希釈条件下における分子内閉環反応のための縮合活性化法を検討した後、2つの最終段階フラグメントの環化反応を試みる。 また、高活性型フルオラスメタセシス触媒の候補触媒として、8種類の新規フルオラスGrubbs-Hoveyda型触媒を合成し、その閉環メタセシスに対する反応性を精査した。その結果、2座配位子部位に1-ナフチル基を有するフルオラス触媒が最も高い反応性を示すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Emericellamide A 及びその立体異性体(8個)の全合成に向けて、2つの最終フラグメント部位のマルチグラムスケールでの合成に成功した。今後、最終段階の閉環反応を試みる。閉環実施前に、各不斉中心のエピメリ化抑制条件検討、及びフルオラスFmoc保護ペプチド中間体の汎用有機溶媒に対する溶解度制御に関して精査する必要がある。 高活性型フルオラスメタセシス触媒の開発に関しては、多環式芳香環を有する2座配位子上へのフルオラスタグ導入が高活性化に有効であることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Emericellamide A、及びその立体異性体の一挙全合成を達成する。その後、他の天然物合成へのフルオラスエンコード合成法にも取り組む。 また、フルオラスタグ導入による触媒活性向上、簡易回収を基軸として、メタセシス反応(Grubbs-Hoveyda型触媒)、及び不斉酸化反応(フルオラスFe(III)サレン錯体)をについて検討する。
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Research Products
(16 results)