2014 Fiscal Year Research-status Report
微弱発光計測技術を応用した遅延蛍光のオンサイト計測による樹木の活力診断手法の開発
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26450194
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今西 純一 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (80378851)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遅延蛍光 / 樹木 / 渇水ストレス / クロロフィル蛍光 / 活力度評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,樹木の活力度は外観により経験的に判定されることが多く,客観性の面で問題がある。遅延蛍光は光合成の異なるプロセスからの逆反応の結果,光化学系IIより微弱な発光が生じる現象で,光合成の情報を直接的に得られる利点をもつ。本研究は遅延蛍光の計測により,光合成のプロセスと関連づけた実用的な樹木の活力診断手法を開発することを目的とする。今年度はオンサイト型微弱発光計測システムを新たに作成して,試験的に計測を行った。暗処理の方法や時間,光照射の面積や波長,強度,時間など安定したデータの取得が可能な遅延蛍光計測条件の検討を行った結果,計測されたデータはシグナルに比べてノイズの少ないデータであり,良好な遅延蛍光データを得ることができた。ただし,フィールドでの計測のために改良した方が良い点も明らかとなったため,来年度も引き続き遅延蛍光計測条件の検討を行う計画である。上記の状況のため,今年度に研究実施予定であった本計測システムによる葉の脱水による渇水ストレス負荷試験は完了しなかった。鉢植え苗を用いた渇水ストレス負荷試験の準備については,冬期に苗を購入し,鉢に植え替える計画であったが,大雪によりビニールハウスが倒壊するという予期せぬ事象のため,ビニールハウスの再建後,新年度早々に実施することになった。なお,本計測システムによる樹木の活力診断手法の開発を視野に入れて,遅延蛍光データと渇水ストレス状態の関連性を分析した結果を国際会議で発表し,遅延蛍光がクロロフィル蛍光よりも優位な評価手法となる可能性について議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の最大の目標であった,オンサイト型微弱発光計測システムを新たに作成し,良好な遅延蛍光データを得ることについては達成することができた。ただし,計測システムについては,フィールドでの計測のために改良した方が良い点が明らかとなったため,来年度も引き続き遅延蛍光計測条件の検討を行う必要がある。このような状況のため,葉の脱水による渇水ストレス負荷試験は完了しなかったが,当初の想定範囲内のずれ込みである。苗を用いた渇水ストレス負荷試験の準備は今年度末に行う予定が,大雪によるビニールハウス倒壊のため,ビニールハウス再建後,来年度早々に行うことになったが,研究計画の実施にはまったく支障がない。
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Strategy for Future Research Activity |
葉の脱水による渇水ストレス負荷試験については,今年度の国際会議における研究発表で得られた議論の成果も反映させ,試験のプロトコールの見直しを行う予定である。計測システムについてフィールドでの計測のために改良した方が良い点が明らかとなったため,来年度も引き続き遅延蛍光計測条件の検討を行う。フィールドでの計測が安定して可能になった後に,苗を用いた渇水ストレス負荷試験を開始する。
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Causes of Carryover |
苗を用いた渇水ストレス負荷試験の準備を今年度末に行う予定であったが,大雪によりビニールハウスが倒壊したため,苗等の購入を延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ビニールハウス再建後,新年度4月中に苗等を購入し,苗を用いた渇水ストレス負荷試験の準備を行う。
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Research Products
(2 results)