2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of on-site tree vigor diagnosis method based on delayed fluorescence by applying very-weak light measurement technology
Project/Area Number |
26450194
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今西 純一 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (80378851)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 遅延蛍光 / 光合成 / 樹木 / 活力評価 / 造園 / 緑化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,樹木の活力度は外観により経験的に判定されることが多く,客観性の面で問題がある。遅延蛍光は光合成の異なるプロセスからの逆反応の結果,光化学系IIより微弱な発光が生じる現象で,光合成の情報を直接的に得られる利点をもつ。本研究は遅延蛍光の計測により,光合成のプロセスと関連づけた実用的な樹木の活力診断手法を開発することを目的として実施した。今年度は改良型の微弱発光計測システムを用いて,実際に野外に植栽されている樹木を対象に取得されたデータをより詳細に解析し,樹木活力診断の実践的な場面において,本計測システムから得られる遅延蛍光データが有効であるかを検討した。計測条件を精査して解析対象を27本に絞り,同一個体内の3枚の葉の遅延蛍光(DF)から,個体の生育状態(生育良好または生育不良)を判定する分類木モデルを構築した。分類木モデルの分岐条件は,第1分岐に10.0秒のDFが,第2分岐に9.0秒のDFと8.0秒のDFの比が,第3分岐に3.0秒のDFと2.0秒のDFの比が選択された。モデルの葉レベルの正答率は82.7 %,個体レベルの正答率は85.1 %であった。ROC曲線のAUCは葉レベルで0.853であり中程度の正確さ,個体レベルで0.932であり高い正確さを有していると評価された。Kappa係数は葉レベルで0.653,個体レベルで0.702であり,いずれも十分な正確さを有していると評価された。以上の結果から,微弱発光計測装置を用いて,暗処理後に10秒間の遅延蛍光を計測することによって,サクラ類の生育状態(良好・不良の傾向)を約80 %の正答率で予測可能であることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)