2015 Fiscal Year Research-status Report
担子菌ウイルスの宿主に及ぼすシグナル経路の解明と子実体形成への機能解析研究
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26450234
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
藤森 文啓 東京家政大学, 家政学部, 教授 (50318226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 あき子 東京家政大学, 家政学部, 助教 (20649371)
近藤 秀樹 岡山大学, その他部局等, 准教授 (40263628)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 担子菌 / マイタケ / ウイルス / 菌類ウイルス / RNA virus / non capcid virus / ゲノム / シクロヘキシミド |
Outline of Annual Research Achievements |
マイタケ細胞内にGrifora frondosa partitivirus 1 (GfPV1)と植物のourmiavirusに遠縁のGrifora frondosa RNA virus 1 (GfRV1)の2種のウイルスが存在することをゲノムデータとトランスクリプトームデータの比較から明らかにしているが、それぞれのウイルスが宿主内でどのような挙動を示し、宿主にどのような影響を与えているのかなどはわかっていない。この2種のウイルスは宿主に重複感染しており、それぞれのウイルスが宿主に与える影響も判別しにくい状況にあるため、1)ウイルスフリー株の作出、2)単独感染株の作出、2)重複感染株の作出を行い、これらウイルスの性状を把握することを目的とした。 2種のウイルスをウイルスフリー株に再度感染させた場合、GfPV1およびGfRV1がマイタケの表現型に及ぼす影響が観察されやすくなると考えられる。また、外部刺激として低温下での培養および薬剤に対するマイタケ菌糸体の表現型変化や菌糸生育の違いについて測定を行った。抗生物質であるシクロヘキシミドを添加した培地での、コロニー形態を観察した。シクロヘキシミドはグルタルイミド系の抗生物質で、真核生物のタンパク質合成を阻害する。シクロヘキシミド耐性を持たない真核生物は細胞を増やすことが出来ず、マイタケのような糸状菌では菌糸伸長が阻害されコロニーを形成がしづらくなる。シクロヘキシミドを外部刺激とし、マイタケを植菌した場合のウイルスの有無による菌糸伸長への影響を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験対象の生物(マイタケ)の全ゲノム配列より作出したマイクロアレイを用いたスクリーニングにより、ウイルス感染しているときと非感染時の変動遺伝子を予測し、その上で遺伝子発現変動と関連する挙動(刺激)に関する類推を実験的に行ってきている。 当初予測した温度感受性や生育速度に関連する違いは見いだせていないが、細胞周期的な阻害ポイントによっては、ウイルス感染による影響が見いだせてきている。ウイルスが宿主に感染することでどのような挙動変化を与えているのかの突破口となる事象をつかめたので、今後はシクロヘキシミド阻害によって生じているウイルス感染の影響に関しての機能解析を行い、一連のまとめとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
シクロヘキシミド濃度が高くなると菌糸の伸長が進まずコロニーの大きさは小さくなったため、濃度依存的に菌糸伸長は阻害される。ウイルスを再感染させたGf-VF(Pv)は他の株と同様にコロニーの大きさは小さくなるが、シクロヘキシミド添加量5 µg/mL ~ 50 µg/mLの間でのコロニー形態は他の株と比較して安定した円形の形態を示し、コロニーの大きさは他の株よりも大きかった。 マイタケに存在するGfPV1を再度ウイルスフリー株に感染させたGfPV1再感染株 (Gf-VF(Pv)) はシクロヘキシミドの働きから逃れて菌糸を延し、コロニーを形成していた。このことから、Gf-VF(Pv) はシクロヘキシミドによるタンパク質合成阻害の機構に対して何らかの方法で耐性を得ていると考えられる。すなわち、GfPV1によってどのように耐性メカニズムが変化しているのかを今後、更に詳しく解析する。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイの実験実施を27年度末に予定していたが、サンプルの生育が遅く、良質のRNAを回収できなかったために実施できなかったために、そのサンプル調整に関わる試薬の購入が28年度にまたがってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
おおむね実験計画通りに遂行しているので、本年度最終年度にすべての計画通りのデータを取得すべく、実験を遂行し予算内で収めたい。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Evaluation of aegerolysins as novel tools to detect and visualize ceramide phosphoethanolamine, a major sphingolipid in invertebrates.2015
Author(s)
2)Bhat HB, Ishitsuka R, Inaba T, Murate M, Abe M, Makino A, Kohyama-Koganeya A, Nagao K, Kurahashi A, Kishimoto T, Tahara M, Yamano A, Nagamune K, Hirabayashi Y, Juni N, Umeda M, Fujimori F, Nishibori K, Yamaji-Hasegawa A, Greimel P, Kobayashi T.
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Journal Title
FASEB J.
Volume: 29
Pages: 3920-3934.
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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