2016 Fiscal Year Annual Research Report
The development of cultivation technology of highly advanced functional mushroom for age-related diseases and the evaluation of its efficacy
Project/Area Number |
26450235
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
江口 文陽 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (60337467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬山 智子 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (20596697) [Withdrawn]
宮澤 紀子 東京農業大学, 地域環境科学部, 助教 (20348147)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | きのこ / 菌類 / 加齢性疾患 / 機能性きのこ / 生活習慣病 / 栽培技術 / エノキタケ / キノコキトサン |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢性疾患に対する高次機能性きのこ栽培技術の開発とその効能評価と題して本研究では、成人から老年期に向かう年齢で増加傾向にある生活習慣病にターゲットを絞ってきのこの摂食に伴う効果を精査した。 特にきのこの中でも生産量の多いエノキタケについては、脂質異常、血流と炎症に関する疾患の予防や治療のエビデンスを構築して、そのエビデンスに対する作用機序を解明した。エノキタケの子実体の抽出物から得られた遊離脂肪酸混合物、キノコキトサンおよび複合糖質などは、腸の粘膜を薄くコーティングすることによって腸からの脂質の吸収を抑制する作用を持つことを解明した。すなわち、臨床試験及び動物試験から、キノコキトサンを摂取することによって、腸管からの脂質の吸収が抑制され、糞便中に排出されることが明らかとなった。この作用により、体重やBMIの減少、総コレステロールなどの脂質に関する臨床検査値の低下を確認した。 きのこの有効成分であるキノコキトサンは、脂肪細胞上のβ受容体に結合すると、ATPがcyclic AMPへ変換され、cyclic AMPがプロテインキナーゼAに結合してホルモン感受性リパーゼを活性化することもわかった。さらに、中性脂肪はモノグリセリドと遊離脂肪酸へ分解され、遊離脂肪酸は血中へ出て、肝臓や褐色脂肪細胞へ運ばれ、燃焼される脂肪分解メカニズムを確認した。 エノキタケから抽出した成分から取り出した脂肪酸を多く含む成分は、リノール酸であった。エノキタケ抽出物の中で脂肪酸を多く含む部分は、β3アドレナリン受容体に強い結合性や活性を示すことが認められた。エノキタケ抽出物を含む食品による内臓脂肪減少効果のメカニズムにβ3アドレナリン受容体が関係している。 本研究は、特用林産物の素材の科学的な根拠を提示したものである。
|