2014 Fiscal Year Research-status Report
干潟域における再生可能な二枚貝水管のカレイ類生産への貢献度評価
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26450246
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
冨山 毅 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (20576897)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アサリ / イシガレイ / マコガレイ / 水管再生 / 成長阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
広島湾に面する広島県呉市の2つの河口干潟域において、カレイ類稚魚の採集および胃内容物の解析を行った。二河川河口域ではアサリやイソシジミなどが約50~150個体/m2の密度で生息しており、イシガレイやマコガレイの胃内からもこれらの水管が出現した。一方、黒瀬川河口域では二枚貝がほとんど出現しておらず、採集されたイシガレイの胃内からも二枚貝の水管は出現しなかった。 仙台湾に面する福島県松川浦の干潟域において、カレイ類稚魚の採集を行った。胃内容物の解析は今後予定している。また、同水域において行ったアサリの水管切除実験のデータについて解析を行い、アサリが水管被食により成長が低下するものの、水管の量的再生が可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
広島湾および仙台湾におけるカレイ類稚魚の採集や胃内容物解析(広島湾)について、予定どおり実施でき、また二枚貝の水管が実際にカレイ類の生産に寄与していることを示すことができた。さらに、アサリの水管再生についても新たな知見を得ることができ、学会での発表を実施することができた。以上から、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
水管の再生能力については、種間での比較を通して評価可能であると予想している。 カレイ類の生産に対する二枚貝水管の貢献度については、以下のとおり変更を行う。計画では二枚貝の有無によるカレイ類の成長の違いについて、囲い網を用いた試験を実施する予定であった。しかし、広島湾周辺では潮汐による水位の変動が大きく、囲い網は現実的ではないこと、囲い網を用いなくても日間摂食量から成長への寄与度を推定可能であることから、現場でのカレイ類の成長や食性のデータからの評価に変更する。すなわち、二枚貝の水管に対してカレイ類稚魚がどのぐらいの量を実際に摂食しているか、の推定を行う。
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Causes of Carryover |
備品費に大きな差額が生じたことで残予算が発生した。すなわち、購入予定であったメモリー水温塩分計は、安価で必要な性能を備える別製品を別途購入した。また、精密電子天秤について、必要な性能を備える別製品を低価格で購入できた。なお、次年度に複数の地域での干潟での現場実験等を予定しており、予算が予定以上に必要となることが想定される。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現場実験等で、調査補助員を伴う出張が当初予定より多くなるため、これらに使用する。そのほか、使用の必要が生じた観測機器類の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)