2016 Fiscal Year Annual Research Report
Assessment of the contribution of regenerable clam siphons on the production of flatfish juveniles in estuaries
Project/Area Number |
26450246
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
冨山 毅 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (20576897)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水管生産 / アサリ / イシガレイ / マコガレイ / 成長阻害 / 生態系モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
干潟域に出現する主要なカレイ類であるイシガレイとマコガレイについて、水温に対する稚魚の成長の応答を飼育実験により調べた。両種ともに水温20度前後で最も成長が良好であったものの、マコガレイでは16度や24度では成長が大きく低下したのに対し、イシガレイではどちらの水温でも20度よりわずかに成長が低下した程度であり、広い水温で良好な成長を遂げることができると推定された。次に、カレイ類の生産性とそれらを支える二枚貝の生産性について、二枚貝がどれだけカレイ類稚魚の生産を支えることができるのかを試算するため、これまで得られたデータや知見をもとにモデル構築を行った。まず、異体類(ヒラメ・カレイ類)の中では最も充実したデータセットが得られているヒラメについて、稚魚の成育場における環境収容力を試算するモデルを検討した。餌の生産力、餌を巡る競合種による摂食量、稚魚の水温や摂食量に対する成長の応答を組み込んだモデルは、野外で得られたデータによく適合した。そこで、このモデルをイシガレイの稚魚に適合するようにチューニングし、餌として二枚貝の水管の生産力を考慮して改変した。アサリが主要な二枚貝である成育場においては、水管が切れにくい構造であることや再生速度が小さいことでイシガレイ稚魚が十分成長するためには小型のアサリが高い密度で生息していることが必要であると推定された。一方、イソシジミが主要な二枚貝である成育場においては、現状の稚魚密度の3倍程度に増えても十分に成長を支えることができると推定された。以上のように、主要な餌生物の生産力を解明し、これを軸に稚魚の成長や環境収容力を推定することの重要性を示すことができた。
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Research Products
(2 results)