2014 Fiscal Year Research-status Report
汎世界分類群マツバラカサゴ属(フサカサゴ科)の分類・生態学的研究
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26450265
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
本村 浩之 鹿児島大学, 総合研究博物館, 教授 (90433086)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 魚類 / 分類 / フサカサゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
マツバラカサゴ属は主上顎骨の形態によって2つの類似種群(speci es complex)で構成されることが分かった(中央表面に隆起線があるvs.表面は滑らかで隆起線がない).前者には,Neomerinthe erostris (Alcock, 1896)(タイプ産地:スリランカ),Neomerinthe gibbifrons (Fowler, 1938)(フィリピン),Neomerinthe rotunda Chen, 1981(台湾),Neomerinthe bathyperimensis Zajonz and Klausewitz, 2002(紅海)の4名義種が含まれる.現在,これら4名義種はすべて有効種とされているが,過去にそれぞれの比較が行われたことがなく,特徴も明らかになっていなかった.2002年に記載されたN. bathyperimensisは,奇形の1個体に基づいており,原記載の著者らもその点の問題性を指摘していた.N. erostrisは原記載以降,忘れ去られていた名前であり,N. gibbifronsは別属(フサカサゴ属)の有効種として扱われていた.N. rotundaはこれまで有効種として台湾周辺からのみ報告されていた.本年度は主上顎骨の表面に隆起線を有するこれら4名義種をタイプ標本および分布域広域から得られた一般標本の調査(地理的変異の把握)に基づき各名義種の有効性を判断した.標本調査は,実体顕微鏡を用いて行い,分類形質となる特徴は描画装置を用いてスケッチした.また,軟エックス線撮影を行い内部形質の評価も行った.その結果,本類似種群はN. erostris 1種で構成されることが明らかになった.残りの3名義種はN. erostrisの新参異名であると判断された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していたグループの解析が無事に終わった.しかし,予定していた海外の博物館訪問調査が先方の都合(コレクションの再構築作業など)で実施できなかったため,来年度に調査を行い,データの充実を図る予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画した通りの手順でマダラフサカサゴ属の分類学的研究を進めていきたい.
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Causes of Carryover |
当該年度に調査を予定していたインド,オーストラリア,ヨーロッパの博物館への渡航ができなかったために次年度使用額が生じた.研究代表者の予定とインドとオーストラリアの訪問予定先の受け入れ研究者の都合やコレクションの再構築作業などと重なってしまい,訪問ができなかった.しかし,標本データの一部を現地で計測し送って頂いたため,研究の進捗状況に遅延は生じなかった.次年度に訪問して裏付けを取る必要がある.ヨーロッパも同様に訪問できなかったが,2015年度の6月に渡航する予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり,前年度調査予定だった研究機関に次年度訪問する予定を組んでおり,相手先からも同意を得ている.
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Research Products
(10 results)