2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450267
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
筒井 繁行 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (20406911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末武 弘章 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (00334326)
細谷 将 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (60526466)
田角 聡志 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (90359646)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 寄生 / 脱繊毛 / マンノース / IgM |
Outline of Annual Research Achievements |
トラフグの鰓に寄生する単生類ヘテロボツリウムの着定メカニズムを解明するため、寄生のファーストステップである脱繊毛を誘導する因子を検索した。先行研究から、トラフグ皮膚粘液中に含まれるユリ型マンノース結合レクチン(パフレクチン)がその候補因子として挙げられていたため、まずトラフグ粘液から、アフィニティークロマトグラフィーによりマンノース結合画分を精製した。SDS-PAGEの結果、この画分には、メジャータンパクであるパフレクチンに加えて、マイナー成分である2種類のタンパク質が検出された。LC-MS/MS解析により、これらのタンパク質はマンノース結合IgMおよびカリクレクチンであることがわかった。 これら3分子の混合画分はヘテロボツリウム幼生の脱繊毛を誘導した。しかしゲルろ過により3分子を完全分離し、脱繊毛活性をしらべたところ、パフレクチンではなく、マンノース結合IgMに活性が認められた。マンノース結合IgMの脱繊毛誘導活性は濃度依存的であり、マンノースの添加により有意に低下した。また、免疫染色により、マンノース結合IgMがヘテロボツリウム幼生に結合することを示した。 血清より精製したトラフグIgMをマンノースカラムに供し、その素通り画分から非マンノース結合IgMを得た。このIgMは脱繊毛を誘導しなかった。 以上の結果により、ヘテロボツリウム幼生の脱繊毛誘導因子はトラフグマンノース結合IgMであり、本分子が幼生の表面に存在するマンノースを含む分子に結合することで、脱繊毛が生じるものと考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘテロボツリウム幼生の脱繊毛を誘導する因子を同定できたため、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
・ウエスタンブロットやアフィニティークロマトグラフィーを用いて、ヘテロボツリウム幼生の表面に存在する、トラフグマンノース結合IgMのリガンドを検索する。
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Causes of Carryover |
ヘテロボツリウム幼生の郵送が可能だったため、旅費の使用が抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
飼育実験に必要な水槽設備の拡充に使用する。
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