2015 Fiscal Year Research-status Report
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26450284
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
辻 明彦 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20155360)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
アメフラシ消化液に存在する多糖類分解酵素の構造解析、および大量発現と応用をめざし、cDNAクローニングを行い、110kDa β-グルコシダーゼ (BGL),59kDa、80kDa α-アミラーゼ (Amy)、45 kDa, 21kDa β-1,4-エンドグルカナーゼ (EG)は、完全長のcDNAを得た。74 kDa, 86 kDa α-グルコシダーゼ(AGL)、95kDa, 65kDa β-1,4-エンドグルカナーゼについては、全体の90%程のcDNAを得、現在5'-RACEによって完全長cDNAクローニングを進めている。 さらに、アラメ消化液と種々の海藻を反応すると、最も多くのグルコースが遊離するのはアラメ(乾燥重量10mgあたり2.5mgのグルコースが遊離)であるが、アラメとBGL、EG、ラミナリナーゼ等の精製酵素を反応してもほとんどグルコースの遊離は認められない。その原因を解析する過程で、アラメの糖化を促進する25kDaのタンパク質 (EHEP) を同定した。EHEPはアラメに含まれるβ-グルコシダーゼ阻害物質であるフロロタンニンと結合し、その阻害作用を抑制することによってラミナランの糖化を促進することを明らかにした。EHEPのcDNAクローニングも行い、塩基配列を登録 (LC122548)した。 また、消化液に含まれる機能未知のタンパク質を精製し、アミノ酸配列情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメフラシ肝膵臓cDNAを鋳型としたPCR法によって多糖類分解酵素のクローニングを進め、45kDa, 21kDa EG、110kDa BGL、74kDa AGL、59kDa, 80kDa Amyは全長cDNAを得た。また、アラメの分解を促進するEHEPのクローニングも行ったので、現在、多糖類分解酵素やEHEPの酵母による発現系の構築を進めている。さらに、ラミナランを分解する新規の酵素CDEを同定し、そのクローニングも進めている。 また、アラメの分解を促進するEHEPの作用機構を解析し、フロログルシノールから構成されるフロロタンニンと特異的に結合するポリフェノール結合タンパク質であることを明らかにした。EHEPの特異抗体を作製し、EHEPタンパク質の発現分布や生合成機構を解析する準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
既にクローニングを終了、または進行中のセルロースとラミナラン分解系、及びでんぷん分解系を構成する消化酵素の酵母による大量発現を構築し、海藻の種類に応じた酵素糖化システムの確立をめざす。今回、特に褐藻類に含まれるフロロタンニンと結合し、その酵素阻害作用を抑制することによって、ラミナラン分解を促進するEHEPを発見したので、EHEPと精製酵素による、ラミナラン含量が高く、グルコース産生量が海藻の中で最も高いアラメの糖化に至適化した酵素カクテルを作成する。また、EHEPの作用機構をさらに解析するためには、EHEPの立体構造解析が必須であるため、北海道大学とX線結晶構造解析について共同研究を開始した。さらにEHEPのフロロタンニンとの結合様式を等温滴定型カロリメトリーによって解析し、解離定数や結合比を検討し、結合親和性の定量的分析も開始している。 これまで多くの研究室では、個々の酵素に関する研究が主であり、今回のプロジェクトのように複数の酵素を用いた分解系の研究は行われていないため、全体的な分解系は不明な点が多い。また、アメフラシ消化液中には、比較的大量に存在するが機能未知のタンパク質が多く存在する。EHEPもそのひとつであり、消化液1mlあたり0.1mg以上存在する。これら機能未知のタンパク質の機能解析は新たな海藻分解支援システムの発見につながる可能性が高い。海藻バイオマスを有効利用するための酵素糖化システムの開発には、消化液に含まれる種々の多糖類分解酵素や分解支援タンパク質の相乗効果を明らかにする事が必要であり、アメフラシ消化液を参考に高効率で低コストの酵素分解法の開発を進める。
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Research Products
(2 results)