2015 Fiscal Year Research-status Report
超小型排水処理を目指した油水分離・浮遊物質回収システムの開発と分離特性の検証
Project/Area Number |
26450351
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野口 良造 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60261773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧川 具弘 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00236382)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 油水分離 / 浮遊物質 / 閉塞 / 膨潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
油とSSの順次分離回収システムの設計に資する知見を得るために,植物油を含む有機性排水を想定し,SS回収用メッシュに閉塞を生じる排水の油とSSの濃度条件,水温度条件を明らかにすることを目的に実験と考察を行った.実験で用いた模擬排水は,水道水1.0 L中に植物油 (以下「油」) とSSとしての小麦粉 (以下「SS」) を混合させて作製した。模擬排水中の油の濃度を0.5 g間隔で変化させ,閉塞を生じる排水中のSSの濃度を求めた。模擬排水の水温は,20,40,50,60,70℃と変化させた。ナイロン製メッシュ (目開き0.44 mm) を取り付けた濾過器 (内径54.0 mm,孔径21.5 mm,高さ20.0 mm) に対して模擬排水を濾過させた後,濾過器に水道水を貯め,最上部まで貯水が可能であった場合を閉塞と判断した.実験の結果,水温20℃で生じた閉塞は排水中に含まれる油の濃度増加に伴う排水の粘度増加の影響であり,水温70℃で生じた閉塞は排水の粘度増加による影響は少ないことが示された.また,本実験でSSとして使用した小麦粉含まれるデンプン粒は,55℃から急激に膨潤するため,水温が60,70℃の場合,排水中でデンプン粒の膨潤が大きく進み,メッシュの網目に付着するデンプン粒の上に次々と他のデンプン粒ががメッシュ孔に堆積しやすくなり,閉塞が生じやすくなることが明らかとなった。これらの現象から,SS回収用メッシュに閉塞を生じさせずにSSを回収するために,排水中の油とSSの濃度条件と水温度条件が決定できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験を通じて,油とSSの順次分離回収システムの設計に資する,油分濃度,SS濃度,温度条件を決定することができ,油とSSの順次分離回収システムの小型化のための設計指針を明らかにすることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見,および現場での測定結果にもとづき,排水処理システムの資源・エネルギーフローから,分離工学の観点から経済性評価を可能とする価値関数にもとづき,回収された油分と浮遊物資の資源化・エネルギー化の価値、油脂が取り除かれた排水の環境負荷低減の価値を価値関数として決定し、分離工学における分離エントロピーによる評価手法を確立する。さらに,油水分離・浮遊物質回収のための物理的特性の解析の結果から,低コスト化,超小型・可搬化(1/3~1/4の大きさ)の排水処理を可能とする油水分離・浮遊物質回収システムの開発指針を明らかにする.
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Causes of Carryover |
平成27年度の濾過実験を行う上で必要な,濾過器や模擬排水の組合わせによる実験が予定より遅れ,そのために計上していた予算に残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に,平成27年度でできなかった実験を早急に行う.
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Research Products
(5 results)