2016 Fiscal Year Annual Research Report
The clarification of pathogenesis in polycystic kidney caused by feline PKD1 gene mutation and the specific therapy for PKD cats.
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26450421
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 れえ子 岩手大学, 農学部, 教授 (80142892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御領 政信 岩手大学, 農学部, 教授 (80153774)
小林 沙織 岩手大学, 農学部, 助教 (60566214)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ADPKD / ネコ多発性嚢胞腎 / PKD1遺伝子 / ツーヒット遺伝子変異 / CFTR / cAMP / トルバプタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒトの常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)のモデル疾患であるネコの多発性嚢胞腎(fPKD)の病態発生メカニズムを明らかにするために実施されたものであり、同時に有効な治療薬の選定も模索した。 ① fPKDにおけるPKD1遺伝子のツーヒット変異の証明:ADPKDでは生後腎尿細管(体細胞)の2回目の変異によって嚢胞細胞の増殖が始まるとされており(ツーヒット変異)、fPKDにおいてもツーヒット変異の有無を検索した。その結果、fPKDネコの腎嚢胞上皮細胞DNAのPKD1遺伝子(エクソン29領域、c.9891部位)でヘテロ接合性の喪失を検出した。したがってADPKDとfPKDでは、ポリシスチン蛋白(PC)が減少して細胞内カルシウム濃度の減少が起きcAMPの活性化が続くと思われた。 ② PCとCFTRの嚢胞形成への関与:ADPKDでは嚢胞内に溶液輸送が開始され、嚢胞は次第に大きくなる。これににはクロライドチャネル蛋白であるCFTRが関与している。CFTRはcAMP誘導性のクロライドチャネル蛋白である。fPKDネコの嚢胞腎組織に対し抗ネコCFTR抗体による免疫染色を実施し、同時に嚢胞上皮細胞CFTR mRNA発現量の測定を行った。その結果、小・中嚢胞ではCFTR陽性細胞とCFTR遺伝子発現量は充分認められるが、大嚢胞で嚢胞細胞が扁平化すると両者の発現は減少することが明らかとなった。 ③ fPKDの新しい治療戦略:上記の研究により嚢胞細胞はcAMP pathwayを経由して活性化されると考えられた。そのため、治療ターゲットはcAMP pathwayを抑制する分子標的薬のトルバプタンに決定した(今年度)。ネコに対するトルバプタン投与は実施されたことが無いため、健康ネコに投与し利尿効果の現れる投与量を検討した。その結果、3mg/kgの投与量で利尿効果が得られ有害作用もないことが示された。
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Research Products
(6 results)