2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the post-transcriptional regulation of mRNA by the insect virus proteins.
Project/Area Number |
26450467
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
小谷 英治 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 准教授 (10273541)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カイコ / バキュロウイルス / 核酸結合タンパク質 / 転写後調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
カイコに感染するBombyx mori nucleopolyhedrovirusのゲノムにある5つのBROファミリーによるカイコ培養細胞内のmRNA機能調節について解析を進めた。BRO-BとBRO-Eには、カイコ細胞のTIA-1相同性タンパク質と相互作用して、特定のイントロンのないmRNAからのタンパク質生産量を減少させる働きが認められた。このBRO-B/Eの効果は、mRNAの翻訳後調節に起因することもわかった。一方、BRO-A/Cを培養細胞で強制発現することにより、レポーターmRNAからのタンパク質生産量が最大2-3倍程度増大することが判明した。このように、BROファミリータンパク質の働きの間には大きな違いがあり、それぞれは、感染過程で特定mRNAからのタンパク質翻訳を調節する働きのあることがわかった。 mRNA量と翻訳タンパク質量増大効果を持つBRO-Aを発現するカイコ個体を得るための遺伝子組換え操作を行ったところ、個体の中部絹糸腺でBROAを発現するカイコを得た。このカイコのフィブロイン産生を後部絹糸腺特異的ピエリシン1A発現により抑制することにより、BRO-Aの中部絹糸腺機能への影響を調べた。この結果、得られた遺伝子組換えカイコは、ピエリシンー1Aによるフィブロイン発現抑制に加えて、BRO-Aの働きにより全くセリシンを吐かなくなり、このため繭を全く作らない形質を示した。以上の結果から、BRO-Aは中部絹糸腺のタンパク質発現に影響を及ぼすことを示している。全く絹糸タンパク質を吐かないカイコの蛹は、ウイルスベクターを用いたワクチン生産に非常に有効である。このように、バキュロウイルスBRO遺伝子を導入することにより、興味深い表現型を持つカイコが得られることがわかった。ただし、セリシン繭産生抑制とBRO機能との関連については不明であるが、BRO-Aが中部絹糸腺におけるピエリシン1A生産に影響を及ぼしたことも考えられる。
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Research Products
(3 results)