2015 Fiscal Year Research-status Report
窒素-酸素結合と多重結合の相互協力に基づく新規有機合成反応の開発
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26460024
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
宮田 興子 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (90102110)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルコキシアミン / オキシムエーテル / イソキサゾリジン / ヒドラゾン / カルボニル / インドール / アミン / 求核付加反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
多重結合への付加反応は官能基化の簡便さ、原子効率などの点から有機合成化学に大きな役割を果たしている。多重結合に有用な付加価値をもたせるには、連結させる官能基を工夫する必要がある。申請者は官能基としてアルコキシアミン、オキシムエーテル、アルコキシアミドを選択し、それらの特性を利用する多重結合の活性化法に焦点をあてた新規結合形成反応を開発する。平成27年度は下記の点を明らかにした。 (1)アルコキシアミンと連結した多重結合の反応性開拓 アルコキシエナミン誘導体の新規二重求核反応を開発して、多置換アミン類の新規合成法を開発した。まず、基礎的研究として、アルデヒドとイソキサゾリジンより得られるN-アルコキシエナミンへのフェニル化反応を検討した。アルデヒドをイソキサゾリジン存在下、トリフェニルアルミニウムと反応させると、目的のα-フェニルアルデヒド類が得られた。以上の結果をもとに、次に二重求核反応を検討した。まず、アルデヒドとイソキサゾリジンより得られるエナミンに対してフェニル化を行った後、アリルマグネシムブロミドを用いてアリル化を行うと、多官能性ホモアリルアミンが得られることを明らかにした。第二の求核種としては、トリブチルスズシアニドおよび還元剤も用いることができることを明らかにした。 (2)オキシムエーテルと連結した多重結合の反応性開拓 これまで、O-アリール共役オキシムエーテル類のラジカル反応をトリエチルボラン存在下行うと、ラジカル付加反応、3,3-シグマトロピー転位反応、閉環反応、ラクタム化反応が連続して進行し、ベンゾフロピロールが得られることを見出している。今年度はオキシムエーテル部分をヒドラゾンに代えてその反応性を検討した。その結果、ピロロインドリンは得られず、様々なインドール酢酸誘導体が得られることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルコキシアミンと連結した多重結合の反応性開拓として、前年度までに開発した極性転換反応を連続反応に組み込み多官能性アミン類の合成に展開し、その成果を論文として公表した。さらに、オキシムエーテルと連結した多重結合の反応性開拓については、類似体であるヒドラゾンに展開して、様々なインドール酢酸誘導体を合成することができた。このことにより、本反応においては、オキシムエーテルとヒドラゾンでは、反応性が異なることも明らかにすることができた。こちらの成果も論文にして公表している。現在、アルコキシアミド類と連結した多重結合の反応性開拓についても成果がではじめており、来年度に、主として素反応を最適化する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、下記の点を明らかにする予定である。 (1)アルコキシアミンと連結した多重結合の反応性開拓―――今年度は、カルボニル化合物類のα位極性転換反応を不斉反応に展開する。各種光学活性なイソキサゾリジンを合成し、これらのイソキサゾリジン存在下でのカルボニル化合物のα-アリール化反応を検討する。さらに、本手法を応用し、カルボン酸誘導体のα位への求核種導入反応を検討する。本手法が成功すれば、カルボン酸誘導体のα位にアリール基を直接、しかも簡単な操作で導入できる。(2)アルコキシアミドと連結した多重結合の反応性開拓―――N-アリルオキシプロピンアミドを基質として、種々の遷移金属触媒を用いて閉環反応を検討する。閉環反応、3,3-シグマトロピー転位反が期待通り進行すれば、多くの生物活性物質に含まれる3-ヒドロキシイソキサゾールが得られる。(3)オキシムエーテルと連結した多重結合の反応性開拓―――オキシムエーテルの代わりにヒドラゾンを有する共役ヒドラゾンをハロゲン化アルキルから発生するアルキルラジカルを用いたドミノ型反応を検討する。現在、ハロゲン化アルキルとして、ヨウ化t-ブチルを用いて反応を検討すると、還元的Fischerインドール合成が進行することが明らかになった。今年度は、本反応の最適化と反応機構の解明、さらに生物活性物質合成への展開も行う。
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