2014 Fiscal Year Research-status Report
緑茶テアニンによる記憶向上から視た海馬依存性長期記憶の基盤メカニズム解析
Project/Area Number |
26460172
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
玉野 春南 静岡県立大学, 薬学部, 特任講師 (30322697)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テアニン / NMDA受容体 / non-NMDA受容体 / LTP / 物体認識記憶 / 海馬歯状回 |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶を司る海馬CA1において、記憶形成の分子基盤と考えられている長期増強(long-term potentiation: LTP)は、グルタミン酸受容体サブタイプであるNMDA受容体に依存して誘導される。しかし、緑茶テアニン(γ-glutamylethylamide)をラットに3週間与えると、NMDA受容体に依存しないLTPが誘導される。このラットに水浸ストレスを負荷すると、コントロールラットとは異なりLTPは障害されず、物体認識記憶障害が回避されることを明らかにした。NMDA受容体に依存しないLTPはストレスに影響されにくいことが知られているが、記憶の獲得・維持に対する効果は十分には明らかにされていない。本研究では、物体認識記憶に対するテアニン摂取の効果を検討した。テアニン摂取ラットの歯状回LTPは、テアニンを含まない水を与えたコントロールラットに比べ大きく誘導された。また、コントロールラットの物体認識記憶は2日後に消失したが、テアニン摂取ラットでは、2日後でも学習した物体を覚えていた。海馬組織の神経成長因子NGFおよび脳由来神経栄養因子BDNFのタンパク質発現量はテアニン摂取により有意に増加した。 以上により、テアニン摂取により物体認識記憶能を向上することが示された。この向上には海馬歯状回LTPの増強ならびにNGFやBDNFのタンパク質発現量が関与するものと考えられる。今後、海馬歯状回LTPがNMDA受容体に依存しないメカニズムで誘導されたかを明らかにする必要がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究実績をNutri. Neurosci., Hippocampus等の国際学術雑誌に掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
テアニン摂取による海馬歯状回LTPの増強のメカニズムを追求するとともに、海馬依存性記憶の制御メカニズムを解析する。また、当初の研究計画を推進する。
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Research Products
(9 results)