2014 Fiscal Year Research-status Report
がん悪液質の病態時におけるオピオイドによる鎮痛効果、有害作用の個人差要因の解明
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26460194
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (80422749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん悪液質 / オピオイド / がん性疼痛 / 薬物動態 / 有害作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床試験の倫理審査申請とオキシコドンとその代謝物(オキシモルフォン、ノルオキシコドン、ノルオキシモルフォン)、フェンタニルとその代謝物(ノルフェンタニル)の血中濃度測定を確立し、患者登録、薬物動態解析および患者情報の収集を開始した。臨床試験については、当施設の医学研究倫理審査およびヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査の承認の下で実施した。オキシコドン、フェンタニルとそれらの代謝物の血中濃度測定については、米国食品医薬品局の生体試料分析のガイダンスに従った簡便なLC-MS/MS法による同時測定法を確立し、がん患者へのモニタリングの適用性についても検証した。インフォームドコンセントの得られたがん患者85名(オキシコドン45名、フェンタニル40名)について、オキシコドン、フェンタニルとそれらの代謝物の血中濃度測定およびGlasgow Prognostic Scoreや体重減少を用いたがん悪液質のグレード分類による評価を行った。今後、内因性代謝マーカーの評価、血漿中炎症性サイトカインや炎症性タンパク濃度、薬物代謝酵素、薬物輸送担体およびオピオイド受容体の遺伝子解析、内分泌ホルモン、オピオイドによる有害作用の判定を行う予定である。解析として、がん終末期におけるオピオイドの鎮痛効果、耐性形成および有害作用の個人差要因を明らかにするために、目標症例数に到達するまで患者登録を継続する。患者情報の収集については、診療録や疼痛管理記録から情報を抽出し、疼痛管理状況と副作用発現状況についてのデータベースの作成を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画にあった臨床試験の倫理審査による承認とともに、オピオイドの代謝物を含めた血中濃度測定法の確立、患者登録、薬物動態解析および患者情報の収集を開始できた。Glasgow Prognostic Scoreや体重減少を用いたがん悪液質のグレード分類による評価についても導入できている。患者登録に関しても、順調に進んでおり、現時点で目標症例数の約半数に到達している。
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Strategy for Future Research Activity |
がん終末期におけるオピオイドの鎮痛効果、耐性形成および有害作用の個人差要因を明らかにするために、目標症例数に到達するまで患者登録を継続する。平成27年度では、新たに内因性代謝マーカーの評価、血漿中炎症性サイトカインや炎症性タンパク濃度、薬物代謝酵素、薬物輸送担体およびオピオイド受容体の遺伝子解析、内分泌ホルモン、オピオイドによる有害作用の判定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
オキシコドンの代謝物(ノルオキシモルフォン)の入手が国内の試薬会社より可能であり、予想していたよりも、安価であったことが挙げられる。さらに質量分析計の使用に関して、別財源での機器の購入により、学内の共同機器の使用料が不要になったことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、ELISAによる血清中炎症性サイトカインの測定を行う予定であり、当初、予定にあった3種類のサイトカインに加えて、新たなサイトカインの測定を行うとともに、血中バイオマーカーのプロテオーム解析を検討しており、それらの費用に充てる。
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