2015 Fiscal Year Research-status Report
生理学的薬物速度論解析に基づく肝取り込み・代謝過程での薬物相互作用予測方法の確立
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26460209
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
伊藤 清美 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (60232435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 敏之 武蔵野大学, 薬学研究所, 講師 (10584815)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬物相互作用 / 薬物代謝酵素 / ヒト肝ミクロソーム / 緩衝液条件 / CYP2C8 / CYP3A4 |
Outline of Annual Research Achievements |
In vitroでの薬物代謝活性の定量的な評価方法について検討する目的で、昨年度に引き続き、CYP2C8によるpaclitaxel 6α-水酸化活性およびCYP3A4によるtriazolam α-および4-水酸化活性について、種々の緩衝液条件下でヒト肝ミクロソームを用いた検討を行った。反応液中におけるpaclitaxelとtriazolamのミクロソーム非結合率 (fu,mic) をそれぞれ超遠心法により測定し、非結合形濃度基準の速度論パラメータを見積もった結果、いずれの薬物においてもfu,micには緩衝液条件により若干の変動が見られたものの、緩衝液条件に依存した代謝活性の変動はfu,micの差のみでは説明できないことが示唆された。 また、CYP2C8およびCYP3A4の阻害薬として、それぞれmontelukastおよびketoconazoleを使用し、paclitaxel 6α-水酸化活性(CYP2C8)とtriazolam α-および4-水酸化活性(CYP3A4)に対するそれらの阻害活性が緩衝液条件に依存する可能性について検討した。その結果、汎用される緩衝液条件下において、CYP2C8およびCYP3A4の代謝活性は緩衝液依存的に変動するものの、montelukastおよびketoconazoleによるそれらの阻害活性は、緩衝液条件の影響をほとんど受けないことが明らかとなった。これらの結果を踏まえて、今後、CYP2C8とCYP3A4の両者の基質となる薬物の代謝阻害試験を実施し、両酵素の寄与率の推定に及ぼす緩衝液条件の影響について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の薬物代謝酵素が関与する薬物相互作用について、生理学的薬物速度論モデルに基づいて定量的に解析するために、代謝における各酵素の寄与率を正確に見積もることが重要であり、緩衝液条件により結果が異なる可能性について検討を続けている。今年度は、昨年度の成果を原著論文として公表できたことに加え、緩衝液条件による代謝活性の変動メカニズムおよび阻害薬の影響が緩衝液条件に依存する可能性についても検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
肝臓において複数の薬物代謝酵素により代謝される薬物について、併用薬により肝取り込みあるいは肝代謝が阻害された場合の血中濃度変動を、生理学的薬物速度論モデルに基づいて解析する。これまでの検討結果を踏まえて、肝代謝における各酵素の寄与率の推定に当たって、緩衝液条件の影響に留意する。
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Causes of Carryover |
実験計画を一部変更し、次年度に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度と同様に、主に試薬等の消耗品の購入費用として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)