2014 Fiscal Year Research-status Report
整形外科領域で使用される抗凝固薬の治療効果と副作用の個体差発現要因の解明
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26460237
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
花田 和彦 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (10281445)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 個別化治療 / 薬物動態 / 抗凝固薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防のために使用される抗凝固薬(エドキサバン、フォンダパリヌクス、エノキサパリン)の適切な投与方法を確立することを目的とし、治療効果・副作用の個人差を説明しうる要因を解明することを試みた。【今年度行ったこと】1.エドキサバンの血漿中薬物濃度の測定および全血・血漿中薬物の安定性の検討:液体クロマトグラフ質量分析計を用いて検討した。2.フォンダパリヌクスおよびエノキサパリンの臨床研究:人工膝関節置換術施行予定患者のうち、本試験の参加について文書による同意が得られた患者を対象とした。術後24時間に薬剤が投与、採血は投与前および投与後経時的に行い、血漿中薬物濃度およびアンチトロンビンIII濃度を測定した。薬物動態の解析には、プログラムNONMEMを用いた。薬物動態モデルは1次吸収過程を含む2-コンパートメントモデルを採用した。薬物動態の個体差を生じる変動要因として、年齢、性別、体重、肝・腎機能検査値、総タンパクなどを用いた。【結果】1.エドキサバンの血漿中薬物濃度の測定方法の検討では、定量限界値が5ng/mLの高感度定量法を確立した。また生体試料中の安定性についても検討を加え、臨床検体中薬物濃度を測定することができる体制を整えた。2.フォンダパリヌクスの体内動態の個体差要因として、分布容積には患者の体重、全身クリアランスには腎機能の指標である糸球体濾過速度が検出された。この結果から、体内動態の面からフォンダパリヌクスを個別投与するためには、患者の体重と腎機能を評価する必要があることを示すことができた。現在は、治療効果として静脈血栓塞栓症の発症の有無、有害作用の指標として出血などのイベントの有無を調査し、これらに影響する要因を明らかにするため、統計手法を用いた検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エドキサバンの臨床研究を行うための準備として、血漿中薬物濃度測定方法を確立し、生体試料を扱う際に必須な薬物の安定性試験も行うことができた。さらに、フォンダパリヌクスとエノキサパリンの臨床研究を継続し、薬物の体内動態のモデル解析の中間解析を計画通りに完了することができたことからも、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.エドキサバンの臨床研究を開始し、患者検体中の薬物濃度および凝固能の指標をモニターし、患者間に存在する体内動態の違いを決める要因を統計的に明らかにする。 2.フォンダパリヌクスあるいはエノキサパリン投与後の治療効果・有害作用に影響する要因を明らかにするため、カルテ調査を行い、統計手法を用いた検討を進める。 3.凝固カスケードの薬力学モデルを用いた凝固マーカーの探索を行う。
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Causes of Carryover |
LCMSMSで使用する分析カラムや有機溶媒が研究室既存のものを用いたため、支出がなかった(計画では30万円を計上)ことが大きな理由である。 また、実験補助者を予定していたが、都合の合う方の採用ができなかったのも要因と考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析カラムや有機溶媒などの試薬類はエドキサバンの臨床試験が開始されると分析回数が非常に多くなるため、今後購入予定である。
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