2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎不全に対する治療薬剤及び補完代替物を利用した複合的抗酸化療法の構築
Project/Area Number |
26460248
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
安楽 誠 崇城大学, 薬学部, 准教授 (60398245)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キトサン / シクロデキストリン / 酸化ストレス / 慢性腎不全 / 抗酸化作用 / 多機能性 / アルブミン / ナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎不全の治療に使用されている既存薬物と機能性食品素材とのコンビネーションによる新たな抗酸化作用を活用して,酸化ストレスを軽減させる新規治療及び予防戦略を提案することを目的とする. 研究2年目として,in vitro スクリーニングにより抗酸化作用を有する可能性を示した各種シクロデキストリン(CyD)について,慢性腎不全モデルラット(CRF-rat)を用いたin vivoでの検討を行った.その結果,天然CyD投与群では,CRF群と比較して,腎不全の進行を若干抑制したものの,有意な差は観察されなかった.一方, ヒドロキシル-プロピル-β-CyD(HP-β-CyD)投与群では,血中インドキシル硫酸及びクレアチニン濃度の有意な低下が観察された.次に,各CyDs投与8週後における抗酸化パラメータの変動を測定した結果,HP-β-CyD投与群のみ,血中アルブミン酸化度の有意な低下が観察された.また,インドールとHP-β-CyDは他のCyDと比較して大きい安定度定数を示したことから,投与されたHP-β-CyDが消化管内で尿毒症物質あるいはその前駆体を包接することにより糞中に排泄し,体内蓄積を抑制した結果,腎不全の進行が抑制されたものと予想された.さらに,最近キチンを微細化し部分的に脱アセチル化したキトサンナノファイバー(CS-NF)とアニオン性複合体化剤としてsulfobutyl ether β-cyclodextrin (SBE-β-CyD)を用いた静電的相互作用によるゲルを作成したところ,比較的強固なゲルの調製に成功した.キトサン及びCyDは,抗酸化作用をはじめとした多機能性素材としての有用性が確認されたことから,今後これらコンビネーションによる新たな多機能性製剤素材としての有用性について検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
慢性腎不全に対する多機能性素材として,これまでのキトサンに加えて,製剤特性の改善や drug delivery system (DDS)の構築などに広く応用されている天然素材であるシクロデキストリン(CyD)においても,消化管内における尿毒症物質であるインドールの包接による尿毒症物質排泄の促進が観察されたことから,CyDにおいても,腎不全への有用性が示唆された.しかし,CyD単独のin vivoにおける評価に時間を要したため,当初の計画より若干遅れている.今後,これら多機能性素材のコンビネーションによる腎不全への予防法の提案さらには,これら多機能性素材に加えた慢性腎不全治療薬とのコンビネーションによる処方改良等についても早急に検討する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
慢性腎不全モデルラット(CRF-rat)へのCyD投与は,腎不全の進行を抑制するだけでなく,腎不全時の酸化ストレス亢進も抑制していることが明らかとなった.これまでの検討から,キトサン及びCyDは,抗酸化作用をはじめとした多機能性素材としての有用性が確認されたことから,今後これら多機能性製剤素材のコンビネーションによる慢性腎不全予防法の提案また腎不全治療薬を含む多機能性製剤素材とのコンビネーションによる新たな慢性腎不全治療法の提案を行う予定である.
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Research Products
(20 results)