2014 Fiscal Year Research-status Report
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26460262
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 純子(仁尾純子) 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70447043)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ガレクチン / 黄体 / プロジェステロン / プロスタグランジン / hCG / LHCGR / 脂質ラフト / ガングリオシド |
Outline of Annual Research Achievements |
黄体は排卵後の卵胞より形成され、妊娠の成立と維持に必須なプロジェステロンを産生する一時的な内分泌組織である。ヒトでは排卵後1週間ほど盛んにプロジェステロンを産生するが、妊娠が成立しない場合は速やかに退行する。 黄体の機能は脳下垂体より産生される黄体形成ホルモン(LH)と胎盤より産生されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)により維持される。LHとhCGは黄体細胞上に存在する共通のレセプター(LHCGR)に結合し、cAMP/PKA経路を活性化することにより、プロジェステロンと黄体機能維持に働くプロスタグランジンE(PGE)産生を刺激する。 我々はこれまでの研究により、beta-galactoseを認識するレクチンであるgalectin-1が機能黄体に強く発現しており、galectin-1と糖鎖の相互作用の低下がヒト黄体の退行に関与する可能性を示した。galectin-1は、脂質ラフトの構成成分であるGM1ガングリオシドに結合することが知られており、LH/hCGおよびLHCGR上の糖鎖と相互作用するとともにLHCGRを脂質ラフト上に留めて、シグナル伝達をサポートすると予想される。 本研究ではLHCGRのシグナル伝達にgalectin-1と糖鎖との相互作用がどのように関与するかを明らかにすることを目的とした。 ガレクチンと糖鎖との結合を阻害するため、ガレクチンの阻害糖であるラクトース、N型糖鎖を除去したhCG、および、グリコシルセラミド合成阻害薬(D-PDMP)を培養ヒト黄体化顆粒層細胞に投与してLHCGR刺激により変動する遺伝子の発現を調べた。いずれの処置によいても、LHCGR刺激により増強するプロジェステロンおよびPGE産生に関与する遺伝子の発現が減少していた。これらの結果は、galectin-1がLHCGRのシグナル伝達に重要な役割を果たすことを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北海道大学病院婦人科より提供をうけた卵胞液より、ヒト黄体化顆粒層細胞を培養し、実験を行っているが、初代培養の細胞であり、分裂増殖しないため、実験に必要な細胞数を集めるのに時間を要している。培養実験は当初予定していた実験のおよそ半分が終了した段階であるため、1年目の研究計画ではやや遅れがみられる。 培養実験を遂行するかわりに2年目に遂行予定であったマウス黄体組織における糖脂質関連遺伝子の発現解析を先に行った。よって、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きヒト黄体化顆粒層細胞の培養実験を継続して行うとともに、株化された黄体細胞様細胞(KGN細胞)の導入を考えている。KGN細胞を用いることでよりスムーズに実験が進められるようになると予想されるが、黄体細胞と同じ性質をもつ細胞ではないため、注意深く性質をチェックする必要がある。
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Causes of Carryover |
今年度に投稿した論文の投稿料と別刷り印刷費の請求書がまだ届いておらず、その分の金額を残して次年度への繰り越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越しした金額は支払予定の論文投稿料と別刷り印刷費用に充てるため、次年度の使用計画に大きな変更は生じない。
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Research Products
(12 results)