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2014 Fiscal Year Research-status Report

新規プリオン結合因子ソーティリンによるプリオン病治療基盤技術の開発

Research Project

Project/Area Number 26460557
Research InstitutionThe University of Tokushima

Principal Investigator

内山 圭司  徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 准教授 (60294039)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsソーティリン / プリオン / 異常プリオン / プリオン分解 / タパク質分解 / プリオン高感受性 / ンソーティリン欠損マウス / ソーティリン欠損細胞
Outline of Annual Research Achievements

平成26年度実施計画に基づき以下のことを明らかにした。
ソーティリンは、プリオンタンパク質(PrP)のN末端領域に結合していることそして、この領域を欠損するPrPは、ソーティリン機能抑制と同様その分解が抑制され細胞表面に過剰に蓄積し、PrPとソーティリンの結合がPrP分解に重要であることを示した。また、PrPはソーティリンと細胞表面で複合体を形成していることさらに、細胞表面だけではなく初期および後期エンドソームでも複合体を形成していることを見出し、細胞表面からのPrPの取込みだけでなく細胞内におけるPrPの輸送にもソーティリンが関与していると考えられた。
また、N2a細胞由来のソーティリン欠損(Sort-KO)細胞、PrP欠損N2a細胞およびソーティリン/PrP二重欠損N2a細胞を構築した。そして、Sort-KO細胞ではPrP発現量が高くなっていることを示した。さらに、Sort-KO細胞および野生型(WT)細胞におけるプリオン感染実験を実施し、ウエスタンブロットによる解析ではSort-KO細胞はWT細胞と比べて異常プリオンタンパク質が過剰に形成されていることを明らかにした。また、この時、Sort-KO細胞では約5倍プリオン感染細胞の割合が高くなっており、ソーティリン機能欠損はプリオン感染に対して高感受性を示すことを見出した。
生体においても、ソーティリン機能欠損は過剰なPrP発現を引き起こすのかを明らかにするために、Sort-KOマウスおよびWTマウス脳におけるPrP発現量を比較したところ、Sort-KOマウスではPrP発現量が高くなっていることを明らかにした。さらに、当初計画に基づきマウスにおけるプリオン感染実験を開始した。感染実験は現在も継続中だが、途中経過として60dpiにおける異常プリオン蓄積量を比較したところすでに、Sort-KOマウスでは有意に異常プリオン蓄積量が高いことを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

H26年度実施計画で予定していた実施項目に対して、
(1)PrP分解に対するソーティリンの作用機序の解明に対しては、計画通り、細胞膜、初期および後期エンドソームでソーティリン/PrP複合体が形成されていることを明らかにしさらに、PrPのN末端領域を介して複合体を形成することも明らかにした。また、複合体形成が抑制されることでPrP分解が抑制されることも明らかにした。
(2)ソーティリン欠損細胞を用いたプリオン分解およびプリオン感染に対するソーティリン機能の解明の準備としてH26年度はソーティリン欠損細胞の構築とSortilin変異体の作成を計画していたが、これらについてはすでに構築済みである。
(3)マウスにおけるSortilin機能とPrP発現量との関係についても、当初計画通りSort-KOマウスおよびWTマウスにおけるPrP発現量の比較によりSort-KOマウスでPrP発現量が上昇していることを明らかにしている。
これらに加え、H27年度に計画しているプリオン感染に対するSortilin機能の役割の解明に対しては、Sort-KOマウスにおけるプリオン感染実験が計画よりも早い時期に開始できたためすでに、感染初期からSort-KOマウスでは有意にWTマウスより多い異常プリオンが形成されていることを明らかにした。また、現在継続中であるため解析に用いた個体数は少ないが、Sort-KOマウスの生存期間がWTマウスより有意に短縮されることも明らかにしている。また、培養細胞においても同様、プリオン感染に対してSort-KO細胞では過剰な異常プリオンが形成されることを明らかにし、さらに、Sort-KO細胞はプリオン感染に対して高感受性を示すことを明らかにしている。これらは、H27年度に計画していた研究に対する結果であり、本研究の進捗状況は当初計画を上回る研究成果が得られている。

Strategy for Future Research Activity

H26年度の研究成果に基づき、今後は以下のことを実施する。
(1)H26年度の結果から、ソーティリンは、細胞膜からエンドソームを経由したリソソームへのPrP輸送を担っており、ソーティリンはPrP分解に重要な因子であることを明らかにした。現在、プリオン感染細胞ではソーティリン発現量が低下していることもすでに明らかにしており、このプリオン感染によるソーティリン発現量低下がプリオン感染による異常プリオンの過剰な蓄積を引き起こすメカニズムではないかと考えられる。そこで(i)培養細胞およびマウスにおけるプリオン実験を行い、プリオン感染後どの段階でソーティリン発現量低下が生じるのかを解析する。(ii)プリオン感染細胞におけるソーティリン発現低下メカニズムを明らかにする。現在、リソソーム機能の阻害によりソーティリン発現量が増加することはすでに確認しており、ソーティリン発現量低下はリソソームでのソーティリン分解の亢進が原因であると考えられそのメカニズムを明らかにする。
(2)H26年度に作成したSort-KO細胞およびソーティリン変異体を用い、プリオン分解およびプリオン感染に対するソーティリン機能を解析する。また、ソーティリン機能抑制がプリオン感染に対して高感受性を示すメカニズムを解析する。
(3)H26年度に開始したSort-KOマウスを用いたプリオン感染実験に関しては、個体数を増やし今後も解析を継続する。

Causes of Carryover

当初予定していた学術集会への参加が不可能となりこの旅費分が繰越金となった。また、PrPとソーティリンの細胞内共局在の解析に関して、計画当初は学内共通機器の共焦点レーザー顕微鏡の使用を計画していたが、デコンボリューション解析の導入により既存の蛍光顕微鏡の使用が可能になり、共焦点レーザー顕微鏡使用料分が繰越金となった。
物品費に関しては、ソーティリンノックアウト細胞およびソーティリン変異体の作成が想定以上にスムーズに進行したため細胞培養用培地・血清および分子生物学実験用試薬の消耗が大幅に抑制されたため繰越金が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

H27年度研究計画の遂行のため、血清・培地等の細胞培養用試薬、生化学・分子生物学用試薬、プラスチック消耗品を購入する。また、ソーティリンノックアウトマウスにおけるプリオン感染実験に関しては、ノックアウトマウスでは野生型マウスと比較して有意に生存期間が短縮することを明らかにしているが、解析する個体数を増やしより質の高い結果を得ることが望ましいと思われるため、動物実験施設使用料としての使用を計画している。さらに、当初計画以上の研究成果が得られているため、H27年度はより積極的に学術集会に参加し、この結果を積極的に社会・国民に発信することを計画している。

Research Products

(10 results)

All 2014

All Journal Article Presentation

  • [Journal Article] Mouse-hamster chimeric prion protein (PrP) devoid of N-terminal rResidues 23-88 restores susceptibility to 22L prions, but not to RML prions in PrP-knockout mice.2014

    • Author(s)
      Uchiyama K, Miyata H, Yano M, Yamaguchi Y, Imamura M, Muramatsu N, Rani Das N, Chida J, Hara H and Sakaguchi S.
    • Journal Title

      PLOS ONE

      Volume: 9 Pages: e109737

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0109737

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Development of in vitro model of insulin receptor cleavage induced by high glucose in HepG2 cells.2014

    • Author(s)
      Yuasa T, Amo K, Ishikura S, Nagaya H, Uchiyama K, Hashida S and Ebina Y.
    • Journal Title

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      Volume: 445 Pages: 236-243

    • DOI

      0.1016/j.bbrc.2014.01.187

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] プリオンによるポストゴルジ膜輸送障害2014

    • Author(s)
      坂口末廣,内山圭司
    • Organizer
      第36回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム
    • Place of Presentation
      徳島大学(徳島県徳島市)
    • Year and Date
      2014-11-20 – 2014-11-21
    • Invited
  • [Presentation] 新規プリオン結合因子Sortilinのプリオン感染における役割2014

    • Author(s)
      内山圭司,富田満,臼井健,坂口末廣
    • Organizer
      第62回日本ウイルス学会学術集会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • Year and Date
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [Presentation] プリオンノックアウト細胞を用いたプリオンタンパク質N末端領域の異常プリオン形成における役割の解明2014

    • Author(s)
      富田満,臼井健,内山圭司,坂口末廣
    • Organizer
      第62回日本ウイルス学会学術集会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • Year and Date
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [Presentation] プリオン感染と小胞輸送障害2014

    • Author(s)
      内山圭司,坂口末廣
    • Organizer
      第87回日本生化学会大会シンポジウム「認知症克服に向けて:プリオン病をもっと知る」
    • Place of Presentation
      京都国際会館(京都府京都市)
    • Year and Date
      2014-10-15 – 2014-10-18
    • Invited
  • [Presentation] プリオン感染によるSortilin発現低下が異常プリオン蓄積を引き起こす2014

    • Author(s)
      内山圭司,坂口末廣
    • Organizer
      第29回中国四国ウイルス研究会
    • Place of Presentation
      山口大学(山口県山口市)
    • Year and Date
      2014-06-28 – 2014-06-29
  • [Presentation] Prions disturb post-Golgi membrane trafficking to the cell surface.2014

    • Author(s)
      Uchiyama K. and Sakaguchi S.
    • Organizer
      The 9th International Symposium of the Institute Network
    • Place of Presentation
      大阪大学(大阪府吹田市)
    • Year and Date
      2014-06-19 – 2014-06-20
  • [Presentation] プリオン感染によるポストゴルジ小胞輸送障害2014

    • Author(s)
      内山圭司,坂口末廣
    • Organizer
      第66回日本細胞生物学会大会
    • Place of Presentation
      奈良県新公会堂(奈良県奈良市)
    • Year and Date
      2014-06-11 – 2014-06-13
  • [Presentation] Post-Golgi trafficking of membrane proteins impaired by prion infection.2014

    • Author(s)
      Uchiyama K. and Sakaguchi S.
    • Organizer
      International Prion Congress-Prion 2014
    • Place of Presentation
      Trieste, Italy
    • Year and Date
      2014-05-27 – 2014-05-30

URL: 

Published: 2016-05-27  

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