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2014 Fiscal Year Research-status Report

ウイルス分離、経代が本来のウイルスの細胞侵入方法に与える影響の解析

Research Project

Project/Area Number 26460563
Research InstitutionNational Institute of Infectious Diseases

Principal Investigator

白戸 憲也  国立感染症研究所, ウイルス第3部, 主任研究員 (40415477)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsヒトコロナウイルス / プロテアーゼ
Outline of Annual Research Achievements

ヒトコロナウイルス229E(HCoV229E)の標準株であるATCC株は細胞侵入に際し、主にカテプシンLを用いていることがわかっている。また2004年に仙台で分離された臨床分離株(Sendai-H/1121/04)はカテプシン感受性が低く、おもにTMPRSS2などの膜型プロテアーゼを用い、細胞表面、またはearly endosomeから細胞侵入している可能性が考えられている。両者のS蛋白質配列を比較すると、融合蛋白質と考ええられる690-708番目のアミノ酸を中心として、前後に5か所のアミノ酸変異が見られる。そこでこれらの点変異を導入したプラスミドを作成し、VSVシュードタイプウイルスを用いた系を使い、点変異がプロテアーゼ感受性にあたえる影響を検討した。結果として、ATCC株のS蛋白質における642番目のアルギニンおよび714番目のアスパラギンが、臨床分離株ではそれぞれメチオニン、リジンに変異していることが、カテプシンL感受性に影響している可能性が示唆された。しかしこれらの変異単独での作用は弱く、642、714の両部位をともに入れかえることにより、ATCC株と臨床分離株のカテプシンL感受性の転換が見られるようになった。このことからこれらの部位自身がプロテアーゼ認識配列ではなく、おそらく両変異の中間にカテプシンL感受性部位が存在し、ATCC株と臨床分離株では構造的な問題によりプロテアーゼのaccessibilityが異なっている可能性が示唆された。そこで臨床分離株をHeLa細胞で20回継代し、カテプシンLを利用できるようになったものについて、S蛋白質の配列を調べると、574番目のイソロイシンがセリンとなっていた。一見642、714番の変異とは離れた部位に変異が入っているが、構造的には近傍に存在しており、やはりS蛋白質の構造がプロテアーゼ感受性に関与している可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

HCoV229Eを用いてATCC株と臨床分離株間のプロテアーゼ感受性差に関与するS蛋白質の変異部位を特定することができている。

Strategy for Future Research Activity

これまではVSVシュードタイプウイルスを用いた系によって細胞侵入の評価を行ってきたが、やはり組換えウイルスを用いた評価も行いたいと考える。TargetRNArecombination法を行うためのプラスミドは作成済みであるが、組換えを行うための実験条件設定に課題があると考えられる。
また他ヒトコロナウイルスの臨床分離株を得るために、Air-Liquid Interfaceを用いたヒト呼吸器プライマリ細胞の培養を進めている。これも細胞の分化条件の設定に課題がみられる。

Causes of Carryover

年度末納品等にかかる支払いが平成27年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成26年度分についてはほぼ使用済みである。

Expenditure Plan for Carryover Budget

上記のとおり。

URL: 

Published: 2016-05-27  

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