2015 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス分離、経代が本来のウイルスの細胞侵入方法に与える影響の解析
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26460563
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
白戸 憲也 国立感染症研究所, ウイルス第3部, 主任研究官 (40415477)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒトコロナウイルス / Air-Liquid Interface培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
既に入手できていたヒトコロナウイルス229EのATCC株と臨床分離株について、プロテアーゼ感受性の差と、それらに影響するS蛋白質の変異は特定することが出来たと考えられる。次に他のヒトコロナウイルス株でも同様の事象が起きるか否かを検討するために、あらたな臨床分離株を得ることを検討していた。ヒトコロナウイルスにはインフルエンザウイルスに対するMDCK細胞のように、この細胞を用いればほぼ確実に分離できる、というようなシステムは存在ぜず、分離は非常に困難を極める。近年、ゲノムRNAが検出されるため、その存在は知られていたが、ウイルス分離に成功していなかったヒトコロナウイルスHKU1株について、ヒトのプライマリ気管支上皮細胞(human bronchial tracheal epithelial cells, HBTEC)をAir-Liquid Interface(ALI)培養したもので分離できることが報告された。そこで我々も本培養法を用いてヒトコロナウイルスの臨床株の分離に挑戦した。ALI培養については試薬、器具が多数販売されており、数々の検討を行った結果、当研究室ではクラボウ社のプライマリ細胞、コーニング社のtranswell insert(polyester membrane)、Stem Cell社の培地(PneumaCult-ALI)を用いることで安定した分化細胞を得ることに成功した。当研究室で倫理的な条件をクリアし、利用可能となっている臨床検体(咽頭拭い液)のうち、RT-PCRでヒトコロナウイルス陽性となった検体8件(HKU1 4件、OC43 3件、229E1件)のうち、5件(HKU1 2件、OC43 3件)でウイルス分離に成功した。S蛋白質およびN蛋白質領域の塩基配列を確認し、株の同定も出来ている。今後はこれらを用いて培養細胞への順化を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HCoVの臨床分離株を入手するために、HBTECのALI培養技術を確立し、これまでHKU1を2株、OC43を3株分離できている。可能であれば229EとN63の分離株も入手できるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ALI培養によって分離できたウイルスについて、HeLaやRDなどの培養細胞での順化を試みる。順化が出来たらS蛋白質の配列を確認し、変異が生じていればプロテアーゼ感受性の確認を行う。プロテアーゼ感受性に差があるようならばVSVシュードタイプウイルス等を用いて確認試験を行う。以上で本実験の目的を達成できると考えられ、期間内に可能な限り進めたい。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが平成28年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成27年度分についてはほぼ使用済みである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり
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Research Products
(1 results)