2016 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the effect of the virus isolation and passage for the original viral entry route
Project/Area Number |
26460563
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
白戸 憲也 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (40415477)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒトコロナウイルス / 継代 / カテプシンL / TMPRSS2 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くのエンベロープウイルスはエンドサイト―シスで細胞侵入する。ヒトコロナウイルス(HCoV)229E従来カテプシンLを利用してエンドゾーム経由で感染していると考えられていた。これらの知見は1960年代に分離され、半世紀近く培養細胞での継代が繰り返されてきたATCC株を用いて得られている。しかし実際にフィールドで流行している229Eの臨床株は、ATCC株と異なりTMPRSS2を利用して細胞表面から感染し、カテプシンL感受性は低い事が明らかとなった。また臨床株を培養細胞で20代継代するとカテプシンL感受性が上昇することから、ATCC株のカテプシンL感受性は培養細胞における継代によって獲得されたことが示唆された。TMPRSS2を利用した細胞表面あるいはearly endosomeからの感染はカテプシンLを利用したlate endosomeからの感染よりはるかに効率が良いこともわかった。Endosomeはtoll-like receptorによる認識など、多くの免疫反応のトリガーとなる認識が行われ、ここに長らくとどまることはウイルスにとって不利益と考えられる。実際にヒトで流行しているウイルス株はこれらの認識を回避し、免疫応答を避けるために、TMPRSS2を利用した感染に特化している可能性が示唆された。さらにATCC株のような順化株を用いた実験により、ウイルスの細胞侵入を阻止するためにカテプシンLインヒビターなどが治療薬の候補となると考えられてきたが、これらの知見は臨床株には全く通用しないことも判明した。実際の治療の用いるための薬剤開発には臨床株本来の性質を維持した株を用いねばならない、という事も示唆した
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Research Products
(2 results)