2014 Fiscal Year Research-status Report
X線CTでの被ばく線量を精密かつ高速に推定する研究
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26460727
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小山 修司 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 准教授 (20242878)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射線技術学 / 医療被ばく / 放射線計測 / X線CT / モンテカルロシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
医療診断における患者被ばくについて国民の関心が高まってきている.また,医療情報技術の発展において,1回ごとのX線検査における被ばく線量の記録・保存の技術も始まってきた.医療被ばくの中で検査1回あたりの線量が大きいのがX線CT検査である.X線CTの被ばく線量の記録は,被験者の頭部と体感部を想定した直径16cmと32cmのアクリル樹脂製円筒形ファントムの中に線量計を挿入して行われ,これが記録される.しかし,この一律の大きさのファントムでの測定だけでは,患者の体型や近年CT装置に搭載されている被ばく低減技術の効果が反映されない. そこで,各メーカ毎,多様にあるX線CT装置について,X線ファンビーム(X線源)の情報や,被ばく低減技術であるCT Auto Exposure Control (CT-AEC) によるスキャン中の線量変化を測定し,患者の撮像画像を元に詳細な組織・臓器線量や実効線量を,モンテカルロシミュレーションを用いて推定するためのシステムを構築する.なお,本研究では,X線ファンビームの測定のための検出器システムおよび,CT-AEC による線量コントロールの状況を測定するシステムを開発することも合わせて行う. 現在のところ,X線ファンビームの測定のための多チャンネル検出器および鉛コリメータの開発および最適化はおわっており,名古屋大学内にあるX線装置を用いて,各種特性(線量直線性,感度の線量率依存性,感度の方向依存性,エネルギー校正曲線の取得など)の測定がおわり,X線CT装置でのテストを行っている.またCT-AECによる線量コントロールの測定も幾つかのX線CT装置で行い,その可能性を確認している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度に計画した内容について,概ね済んでおり,開発されたそれぞれの測定システムについて,さらなる最適化を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度以降は,これまでに開発された2種類の測定システムについて,名古屋大学内にある実験用X線CT装置を用いて,臨床現場でのX線CT装置での使用が可能か検証を行う.次に,本学が所有する人体型ファントムをこのX線CT装置で撮影し,この各種組織臓器位置に組み込まれた線量計での吸収線量測定を行う.この人体型ファントムは,既に他の施設において画像データが取得されているため,このデータよりモンテカルロ計算で使用する数学ファントム(ボクセルファントム)を作製し,前述の測定システムで取得されたX線ファンビームデータと合わせて,モンテカルロシミュレーションを行い,さきの実測値と比較検討を行う.シミュレーションコードは,高エネルギー加速器研究機構が提供している Electron Gamma Shower 5 (EGS5) である.また,計算には本研究補助金で購入するコンピュータを用いて並列計算による高速計算を行う. 以上の検証を踏まえて,各メーカ,各種X線CT装置での人体ファントムによる測定とX線ファンビーム,CT-AEC の測定,モンテカルロシミュレーションを行い,実測と計算が一致することを確認してゆく.最終段階として,実際のX線CT被験者のデータを用い,その組織臓器線量の計算を行い,被験者体型や臓器位置の個人差などにより被ばく線量にどの程度の幅があるかなどの検証を行う.
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