2014 Fiscal Year Research-status Report
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26460745
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡野 淳一 鳥取大学, 医学部, 講師 (00343278)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 早期診断 / 実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年4月から2014年3月に鳥取県の基幹8施設で診療した合計182例の初発肝細胞癌(HCC)症例の成因、背景因子、診断経緯、肝癌診療ガイドライン(日本肝臓学会)に沿ったサーベイランス遵守状況、治療法等を、科学研究費助成事業と鳥取県健康対策協議会の協力の下で、倫理審査委員会承認手続き後に調査した。成因は、B型肝炎ウイルス(HBV) 41例(22.5%)、C型肝炎ウイルス(HCV) 65例(35.7%)、非B非C型(NBNC) 74例(40.7%)、HBV+HCV 2例(1.1%)であった。肝動脈塞栓術や肝動注(IVR)の姑息的治療が54例(30.0%)と最も多く、手術37例(20.3%)、経皮治療26例(14.3%)、IVR+経皮治療28例(15.4%)を合わせて91例(50.0%)であった。未治療31例(17.0%)や、S-1や放射線による姑息的治療例も6例(3.3%)あった。根治治療がHBVでは23例(56.1%)、HCVでは37例(56.9%)に施行されていたが、NBNCでは30例(40.5%)と少なく、無治療例がHBV 6例(14.6%)、HCV 6例(9.2%)に比べてNBNCでは18例(24.3%)と多かった。 通院中の初発HCC診断は86例(47.3%)で、HCVは47/65例(72.3%)だが、HBVとNBNCは各13例(31.7%)、27例(36.5%)と少なく、肝炎ウイルス陽性者が通院中にHCCと診断されたのは60/108例(55.6%)に過ぎなかった。肝炎ウイルス陽性の通院患者のサーベイランス遵守率はHBV 10/13例(76.9%)、HCV 33/47例(70.2%)で、サーベイランス逸脱理由は不適切な画像検査間隔や腫瘍マーカーのみの検査であった。肝炎ウイルス陽性だが偶発的にHCCを診断された患者の多くは、過去に肝炎ウイルス検査の受検歴がなかった。HBV陽性(28例)とHCV陽性(18例)の偶発的HCC診断の契機は、腹痛等の症状出現、検診、十二指腸潰瘍等の他疾患受診であった。NBNCの多くは偶発的なHCC診断であり、症状出現、検診、肝障害や大腸癌等の他疾患精査がHCC診断契機であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りの調査研究が実施されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き科学研究費助成事業と鳥取県健康対策協議会の協力の下で、鳥取県の基幹8施設で診療した2014年度の初発肝細胞癌(HCC)症例の実態調査を行う。2014年度の検討結果から、HCCが早期診断されない原因は、未診断の肝炎ウイルス陽性者の存在と、サーベイランス対象としての囲い込み困難なNBNC HCCの増加の2つが考えられた。今後は行政や鳥取県肝疾患相談センター等と連携し、以上2つの課題解決へ取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
予定に比べて物品費を少なく抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費や医師および市民向け会合費用として使用する予定である。
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