2014 Fiscal Year Research-status Report
低用量カドミウムによるエストロゲン受容体活性化を制御する特異的なmiRNAの特定
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26460793
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
崔 正国 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (90572115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲寺 秀邦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (10301144)
小川 良平 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 講師 (60334736)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カドミウム / マイクロRNA / エストロゲン受容体 / 発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
カドミウム汚染地域の住民には低濃度カドミウムの曝露による健康影響が懸念されている。しかし、低用量カドミウムによる生体影響には不明な点が多く、発がん性についても議論が多い。本研究はその解明を目標としている。 本年度の研究では、ヒト乳がん培養細胞株(MCF-7細胞)を用いて、1nM-1μMの塩化カドミウムにより1-3ヶ月間処理し、RNAを回収しmiRNAマイクロアレイ法により低用量カドミウム曝露が誘発するmiRNAプロファイリング変化を解析した。顕著に発現変動を示す候補miRNAについては、miRNA関連データベースと文献報告によりその標的となる遺伝子とタンパク質をリストアップした。特に、エストロゲン受容体発現、活性とシグナル伝達経路、がん抑制遺伝子とがん遺伝子について注目してその後の解析を進めており、変動が少なくても発癌で重要な役割を果たす遺伝子の制御に関連するmiRNAについては、次の段階の解析の候補としてリストアップしている。現在低濃度カドミウムの処理を行ったMCF-7細胞を用いて、リストアップした候補について、mRNAとタンパク質の発現変化を検討することにより、候補miRNAの確認実験を行っている。 本研究により、低用量カドミウムによるエストロゲン受容体発現、活性とシグナル伝達経路を制御する特異的なmiRNAが特定でき、低用量カドミウムによる発癌に寄与する分子メカニズムが明らかにされ、それを利用した治療法を構築できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低濃度カドミウムに長期曝露したヒト乳がん培養細胞株(MCF-7細胞)から、マイクロアレイ法によりmiRNAプロファイリング変化を解析し、発現変化を示す上位の10種類のmiRNAについて解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、miRNAマイクロアレイ法により低用量カドミウム曝露が誘導する候補miRNAをリストアップし、その一部はウェスタンブロット法により確認できたが、miRNAの発現変化の幅度が小さく、miRNAマイクロアレイ法による解析の回数が少ない欠点がある。 次年度には、アレイ数を増やし、さらに詳細な解析を進め、安定且つ再現性がよいデータにより標的候補miRNAを絞る。また、mRNAとタンパク質の解析でmiRNAマイクロアレイ法から得られた候補を確認し、それらの候補によるエストロゲン受容体関連シグナル伝達の制御について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、当初の計画のとおりヒト乳がん培養細胞株MCF-7細胞を用いて、低用量の塩化カドミウムにより処理し、対照群と処理群の細胞からそれぞれRNAを回収し、miRNAマイクロアレイ法により低用量カドミウム曝露が誘導するmiRNAの発現変化を解析した。 次年度には、本年度の知見の再現性の実験、候補miRNAの機能解析などの実験を計画しており、より多い予算が必要となるために、できるだけ本年度の予算を節約して使用したため、次年度の使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養培地(500mlボトル)x40本=6万円、その他8,583円
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