2014 Fiscal Year Research-status Report
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26460854
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
齋藤 勇一郎 群馬大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344922)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | RFID / 業務フロー |
Outline of Annual Research Achievements |
本学医学部附属病院は重粒子線治療の可能な唯一の国立大学病院(かつ、内科外科など複数の診療科を有する総合的な病院)であり、患者が全国ばかりでなく海外からも治療のため来院する。平成25年夏からは、肝細胞がん、直腸がん術後の骨盤部再発、膵がん、孤立性リンパ節再発などに重粒子線治療の適応疾患が拡大となった。さらに海外から患者の受け入れがあった。今後、患者数の増加が予想され、業務は多忙を極めることが予想される。 病院内でのRFID技術の応用は、医薬品や機器の管理、感染症患者の追跡など、様々な用途に有用と考えられ研究が進められている。診療に関わる院内スタッフの業務や所要時間、動線などの行動データを収集できれば、スタッフ配置の計画、診療計画の記録や評価に有用である。本年度は、重粒子線センターにおいて、RFIDによる患者の流れを自動的にデータ収集する。同時に、時間データを取得することが可能である。RFIDにより収集した時間ログのデータと患者の流れと観察することにより、患者待ち時間の短縮ばかりでなく、診療業務の効率化や医療安全に貢献することができるシステムが確立できると期待される。 受け付け、診察室、治療室にRFIDの受信機を設置し、2種類のRFIDタグを用いて、電波の受信状況を確認した。 重粒子線治療センターに来院時にRFIDのタグを患者基本票のホルダーに取り付けたものを持って移動してもらい、治療に必要な時間を測定した。実際の予約時間(予定治療時間)との比較を行った。 このデータをIRIS(統合型放射線治療情報管理支援システム、東芝電力システム社製)の診療データと組み合わせることにより、治療が中断し後続の患者を先に治療した後再開したケースや、何人かのスケジュール変更があったことが分かる。疾患ごとの特性や回数に応じて、患者滞在時間が短縮され得ることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重粒子線治療センター内で効果的に検知できるアンテナ設置場所を見出し、位置検出誤差の少ない電波強度を調査した。アンテナの取り付け位置とタグの位置の相互関係により、電波受信の可否や精度が異っていた。RFIDには電源を内蔵したアクティブ型のほうが、外部から電磁誘導などで電源供給するパッシブ型より安定してデータ収集が可能であった。そこで、今回の検討はアクティブ型のRFIDタグを用いて検討した。 患者の待ち時間を含めた治療時間をRFIDのログ記録から解析することができた。このデータをIRIS(統合型放射線治療情報管理支援システム、東芝電力システム社製)の診療データと組み合わせることにより、治療が中断し後続の患者を先に治療した後再開したケースや、何人かのスケジュール変更があったことが分かる。疾患ごとの特性や回数に応じて、患者滞在時間が短縮され得ることがわかった。照射回数の増加によって、特に治療時間が減少する傾向があった。これは治療回数が増えるに従って患者が治療の工程に慣れるためであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
重粒子線治療センターはまだ全国に数が少なく、治療希望患者をすべて受け入れられていないという現状がある。さらに治療室等の制約がある中、効率化を測り稼働率を高めることでなるべく多くの希望患者を受け入れたいと考えている。 今回検討から、業務フローとRFIDのログ記録から詳細な時間を計算することが可能と考える。ゲート式のRFIDリーダー/ライターの設置範囲は、センターの受付・診察室・待合室・処置室と順次拡大して、患者と医療スタッフのデータを増やしていく。ゲート式のRFIDリーダー/ライターの場合は、一度に限られた人数のデータしか取得することができない。次に、より広範囲で同時に多数の患者・医療スタッフのデータを同時収集することが可能となる。そのためには、RFIDタグの読み取り精度の向上とリーダー/ライターの位置検知機能のレベルアップが必要であり、トッパン・フォームズと予備実験を平成27年度までに進めていく予定である。 業務フローは個々の医師・看護師・放射線技師・放射線物理士など担当者が行う処理(アクティビティ)に当たりについて調査をする。 次に、患者に治療の流れについてもフローを作成する。フローの作成・解析には、AIST workflow verifierを検討している。このシステムでは、業務フロー図の局所的な文法上の検査(特定のノードとエッジの組み合わせ等)では、業務フロー図で局所的な文法上のミスを検出し、構造上の問題点を指摘することが出来るものである。 医療スタッフの治療スケジュール作成作業の負担軽減、スケジュール自体の精度向上、及び患者の待ち時間削減をめざし、患者の実治療時間データを自動収集し、コンピュータで効率的なスケジュールを作成することを目標に検討を進める。
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Research Products
(1 results)