2015 Fiscal Year Research-status Report
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26460854
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
齋藤 勇一郎 群馬大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344922)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | RFID / 業務フロー |
Outline of Annual Research Achievements |
群馬大学医学部附属病院における重粒子線治療患者は年間600名弱となった。治療患者の増加に伴い照射スケジュールの調整にかかるスタッフの負担が増加している。そこで、迅速かつ効率的に治療を進めるためのアルゴリズムを検討のため疾患ごとの治療時間を検討した。重粒子線治療中の患者は、重粒子線医学センターの受付にて、RFIDのタグを受け取り、待合室・診察室・治療室前室、治療室の出入り口で通過時刻を記録し、その差を在室時間として計算した。重粒子線治療は疾患ごとのプロトコールが決められており、2週間から4週間継続するため、8回から16回の照射を受ける。まず、疾患ごとの重粒子線照射室の在室時間(治療時間)を計算した。治療症例の多い前立腺がんについて解析した(n=208)。前立腺がんの場合は16回照射を行う。治療時間は最初の3回の平均が30分以上であった。7回目以降は25分程度、14-16回目には、20.5分と約30%短縮されていた。頭頸部非扁平上皮癌(n=12)の場合も、前立腺がんと同様に16回の照射を行う。しかし、治療時間に関しては、第1週(1-4回目)の平均は32.3分で、その後の第2-3週目も30.8分であった。第4週になると、平均治療時間は28.5分とやや短縮している傾向があった。しかし、治療時間減少の程度は10%程度であった。照射回数の増加によって治療時間が減少する傾向があった。これは治療回数が増えるに従って患者が治療の工程に慣れるためであると考えられる。また、症例数の少ない頭頸部非扁平上皮癌は治療にあたるスタッフの作業手順への経験が少なくなく、照射準備の時間がかかっている可能性がある。年度ごとに同一の疾患の治療時間を検討して比較する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RFID システムは93.75KHz および300MHz帯の周波数帯を用い、重粒子線医学センター内の治療室ドア付近の天井に取り付けたループアンテナが患者の胸元に携帯されているRFIDタグを検知することで、患者の所在及び入室した場所・時刻をサーバーに記録可能であり、疾患ごとの治療時間の測定ができていた。疾患ごとの治療プロトコルと照射回数による平均治療室滞在時間(治療時間)を集計することができた。症例数の多い疾患については、治療回数が増えるにつれ治療時間が30%近く短縮されていた。一方、まれな疾患については治療時間の短縮の程度は10%程度であった。患者側の要素だけでなく、放射線技師など医療スタッフ側の要素(業務フローなど)も影響していると思われる。確実に治療時間のデータが集積できることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
重粒子線治療センターはまだ全国的に数が少なく、治療希望者をすべて受け入れられないという現状がある。患者の待ち時間を減らし、できるだけ多くのがん患者を受け入れられるよう、業務の効率化を図ることは重要である。平成27年度は、RFIDの記録から疾患ごと・患者ごとの詳細な時間を計算することができた。治療時間の短縮には、患者側の要因ばかりでなく、医療スタッフ側の要因もあることがうかがえたので、業務フローを作成して分析に活用したい。これらのデータを組み合わせ、医療スタッフの治療スケジュール作成の負担軽減や患者待ち時間の短種を目指し、治療計画のアルゴリズム作成に生かしたい。
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Research Products
(1 results)