2014 Fiscal Year Research-status Report
がん特異的蛍光プローブの散布による新規の頭頸部がん検出法の開発
Project/Area Number |
26461043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野 尚子 北海道大学, 大学病院, 助教 (60431376)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光イメージング / 頭頸部がん |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、頭頸部がんが早期に発見され、内視鏡的に切除される例が報告されてきているが、食道がんの診断に通常用いられているルゴール染色が、この領域に対しては刺激性の問題があり行うことができないため、患者にとって刺激性のない検出法の開発が望まれている。申請者は、最近開発された、がん細胞の表面に特異的に発現している酵素の働きによって蛍光を発するプローブに着目し、これを散布することで頭頸部がん領域のみを光らせて検出することができるかどうかを明らかにすることを目的とした。 培養頭頸部がん由来細胞株にこのプローブを添加し、蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーで観察したところ、いずれのがん細胞株においても蛍光が観察された。ヌードマウスの皮下腫瘍モデルに対してプローブを散布し、蛍光カメラを用いて観察したところ、腫瘍に一致して蛍光が観察された。また、過去の頭頸部がんの内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)施行症例に対して、標的酵素の発現を免疫組織染色で確認したところ、いずれもがん組織特異的に発現を認めた。また、これまでに早期頭頸部がん5症例に対して、ESDまたは外科的切除を行い、切除後ただちにプローブを標本に散布して蛍光観察をしたところ、全症例においてプローブ散布後数分以内にルゴール不染帯にほぼ一致して蛍光が観察された。 以上のことから、本研究で用いたプローブは、早期頭頸部がんの新規検出に有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画はすべて実施され、次年度に実施予定だった項目を前倒しして開始できた。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究を引き続き行い、症例数を重ねるとともに、さらに別の新規プローブについても同様の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
培養細胞の費用を節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床研究における病理検査費用、および新規プローブを用いて実施する動物実験等の物品費として用いる
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