2014 Fiscal Year Research-status Report
拡張型心筋症の診断における心内膜心筋生検の有用性の検討
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26461073
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 浩章 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30325659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒔田 直昌 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00312356)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 拡張型心筋症 / プラコグロビン / 心筋生検 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:病理診断の心内膜心筋生検の拡張型心筋症の診断についての有用性の検討するため、ヨーロッパ心臓血管病理教会のコンセンサスで施行される免疫染色のうち、今回はプラコグロビンについて研究を行った。方法:介在板の蛋白であるプラコグロビンがその診断に有用であると報告されている不整脈源性右心室心筋症(ARVC)群10例と拡張型心筋症(DCM)(6例)および肥大型心筋症(HCM)(7例)のコントロール群で、心筋生検標本を用い、プラコグロビン、別の介在板蛋白のN-カドヘリンとGapジャンクション蛋白のコネキシン43について染色で鑑別できるかを比較検討した。結果:N-カドヘリンとコネキシン43は両群で差はなかったが、プラコグロビン発現は、ARVCでDCMおよびHCMに比較し有意に低下していた。また、プラコグロビン染色によるARVCをDCMなどから鑑別できる感度は90%であるが特異度は54%であった。考察:プラコグロビン染色は、DCMなどからARVCを鑑別するのに有用であるが、特異度は低く、それだけでは不十分である可能性が示唆された。すなわち、DCMのなかにも、プラコグロビン発現の低下している症例があり、これは、ただ単に、DCMでもアクチンやミオシンなどの心筋収縮蛋白に以外に介在板にも異常をきたす可能性があるのか、ARVCと関連しているDCMであるのかは、今後検討する必要があると思われる。しかし、それらが解明されていない現時点では、プラコグロビン染色が陰性である場合を除いて、心筋生検査標本でのプラコグロビン染色のみでのARVCとの鑑別は困難であり、臨床データなどを含めた総合的診断が必要である。この結果は、DCMをする場合に重要な知見であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫染色による拡張型心筋症の診断について、プラコグロビンは施行できたが、ジストロフィン心筋症やミトコンドリア心筋症、ラミンA/C心筋症を鑑別するための、ジストロフィン染色、succinate dehydrogenase, cytochrome oxidase、ラミンA/Cの染色を行う予定であったが、免疫染色を施行するためのpositive controlとしてのこれらの心筋症が予想以上に少なく、染色に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子診断がされたラミンA/C心筋症を1例経験したので、この症例をpositive controlとして、まずは、ラミンA/Cの染色を拡張型心筋症症例で行い、これらの症例に含まれていないかを検討することとする。また、ほかの染色についても、positive control症例を検討するが、心筋症以外での生検心筋をnegative controlとして用い、染色することも考えている。また、これらの染色による診断への有用性の検討を行うとともに、平成27年度に予定している、薬物治療抵抗性の拡張型心筋症で心臓再同期療法を施行し、2年以上その効果が有用であった症例とそうでない症例の心筋生検での病理組織所見を比較検討する予定である。
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