2015 Fiscal Year Research-status Report
GLP-1/DPP-4の腎臓内シグナル伝達機構の解明と糖尿病性腎症の治療への応用
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26461209
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤田 浩樹 秋田大学, 医学部, 講師 (30333933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 祐一郎 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60283610)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / インクレチン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続いて、消化管由来のインクレチンGlucagon-like peptide-1(GLP-1)とその分解酵素Dipeptidyl peptidase-4(DPP-4)の腎臓内シグナル伝達系とこれらをターゲットとした糖尿病性腎症に対する治療の可能性について検討することを目的とし、マウスを用いて研究を遂行した。前年度の研究から、DPP-4阻害により、DPP-4の基質の一つであるStromal cell-derived factor-1alpha(SDF-1alpha)の発現が腎臓の糸球体上皮細胞と遠位尿細管で特異的に増加し、この現象はDPP-4の主要な基質である活性型GLP-1の増加から独立してもたらされることを我々は見出した。引き続き進行性糖尿病性腎症マウスモデルKK/Ta-Akitaマウスを用いて研究を進めた結果、我々はさらにDPP-4阻害によるSDF-1の腎臓での発現増加が尿中ナトリウム排泄増加をもたらし、糸球体高血圧の改善を介してアルブミン尿の減少や糸球体組織病変の進行抑制など腎保護に貢献する可能性を示すことができた。この所見をさらに検証するため、KK/Ta-Akitaマウスを用いてSDF-1alpha受容体拮抗薬AMD3100の投与実験を行い、SDF-1alphaからのシグナルの遮断により上述の腎保護効果がみられなくなることが示された。以上より、DPP-4阻害はSDF-1alphaからのシグナルを増加させることで腎保護効果に貢献する可能性が期待され、今後もその詳細な分子機構を解明する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DPP-4阻害による腎臓内SDF-1alphaの発現増加と腎保護効果などGLP-1/DPP-4の腎臓内シグナル伝達系に関するいくつかの新しい所見が得られてきており、本研究はおおむね順調に進展しているものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
DPP-4の基質であるSDF-1alphaの腎保護効果に関する詳細な分子機構を進行性糖尿病性腎症マウスモデルKK/Ta-Akitaマウスを用いた研究により解明する。
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Research Products
(1 results)