2014 Fiscal Year Research-status Report
血中のsyndecan-4による新生児慢性肺疾患の予後
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26461642
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00193194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 陽平 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60327583)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | syndecan-4 / 慢性肺疾患 / 胎児血 / 絨毛膜羊膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
syndecan-4はコア蛋白の分子量が約30kDaで、細胞外ドメインに3つのグリコサミノグリカン付加部位を持つ。ヘパラン硫酸鎖へのリガンドの結合シグナルは、グリコサミノグリカンからコアタンパク質の細胞質ドメインを通り、細胞内シグナル伝達系に伝えられる。 本研究では羊膜絨毛膜炎による早産児の肺胞での炎症、すなわち、慢性肺疾患の初期状態に対し、syndecan-4が上昇し、炎症を抑制していると考え、これを検証する。早産児の子宮内での絨毛膜羊膜炎でのsybdecan-4の検討は現在まで報告されていない。 平成26年度は正期産児のsyndecan-4の測定を行い、基準値の作成を行った。 本研究は早産児にとって重篤な疾患である慢性肺疾患に対し、血清中のsyndecan-4を測定することにより、羊膜炎絨毛膜炎の存在を早期に予測・診断することにある。今まで新生児でsyndecan-4の測定を行った報告は海外を含めてなく、本研究で得られる実験データにより羊膜絨毛膜炎のより精密な予測が初めて可能になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正期産児でのsyndecan-4の基準値作成はほぼ終了している。 今後は早産児での測定値の解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Ⅰ)早産児におけるsyndecan-4測定値と正期産児の基準値との比較 本年度は37週未満の早産児のsyndecan-4の測定を行う。年間、当院で出生する早産児は30週以下約30人、31-36週60-70人である。同意が得られる人数を80%以上と考えている。最も少数である30週以下の早産児で年間約25人の研究協力者が得られ、各在胎週数での人数差はあるが3年で70名、週数毎に約6名の同意が得られると考えられる。これらの早産児のsyndecan-4測定結果を元に、週数によるsyndecan-4測定値の変化を検討する。 Ⅱ)早産児におけるsyndecan-4と慢性肺疾患の発症との比較検討 絨毛膜炎羊膜炎が切迫早産の主たる原因であることは周知の事実である。さらに絨毛膜羊膜炎は切迫早産に加えて、胎児炎症FIRSを惹起し、慢性肺疾患を引き起こす。より未熟な児では切迫早産に対し子宮収縮抑制剤による治療も行われ、組織学的所見のみでは絨毛膜羊膜炎の診断が難しいことが多い。syndecan-4が炎症や修復に重要な役割を果たしていることが示唆されている。 本研究では早産児の絨毛膜羊膜炎の予測として早産児の臍帯血・新生児血中のsyndecan-4を測定し、その後の臨床的な慢性肺疾患の発症との連関を検討することで、syndecan-4による慢性肺疾患の早期予測・発見を可能にする。
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Causes of Carryover |
未使用額は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の試薬・抗体等の購入費に充てる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究費を実施するために、未使用額および次年度の直接経費から以下の研究費使用を計画する。 試薬・抗体購入費 1,000,000円、実験器具購入費 200,000円、ソフトウェア代 100,000円、事務用品・消耗品代 100,000、国際学会参加費 200,000円、国内学会参加費 100,000円、研究協力費 500,000円
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