2016 Fiscal Year Annual Research Report
Depressed PPARalpha is involved in the pathogenesis of atopic dermatitis
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26461662
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
波多野 豊 大分大学, 医学部, 教授 (80336263)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 皮膚バリア機能 / アレルギー性炎症 / PPAR |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、PPARαの合成リガンドであるWy14643が、培養表皮角化細胞におけるTARCとRANTESの発現を低下させることを見出した。TARCとRANTESは、アトピー性皮膚炎におけるアレルギー性炎症に関与する重要なケモカインであることから、アトピー性皮膚炎病変部におけるPPARαの低下がアトピー性皮膚炎の病態におけるアレルギー性炎症に深く関与している可能性が示唆された。本年度は、1.皮膚バリア機能との関連 2.他のPPARサブセットとの比較を行った。皮膚バリア機能として、アトピー性皮膚炎において低下していることが知られている透過性バリア機能と抗菌バリア機能に着目した。透過性バリア機能に関与する因子として、分化関連蛋白(インボルクリン、フィラグリン、ロリクリン)の発現を、抗菌バリア機能に関与する因子として抗菌ペプチド(HBD3、LL37)の発現をそれぞれ検討した。 Wy14643は、フィラグリンの発現を亢進させる傾向を示し、インボルクリンの発現を優位に亢進させた。一方、ロリクリンの発現には影響しなかった。抗菌ペプチドでは、HBD3とLL37の両者の発現を亢進させた。これらの結果は、アトピー性皮膚炎病変部におけるPPARαの低下が、透過性バリア機能と抗菌バリア機能の両者の低下に関与し得ることを示唆する。 PPARの他のサブセットであるPPARβ/δとPPARγのそれぞれの合成リガンドであるGW0742とciglitazoneの作用を検討した。その結果、PPARαの活性化による透過性バリア機能、抗菌バリア機能作用及びアレルギー性炎症に対する作用は、PPARβ/δやPPARγの活性化による作用とほぼ同様と考えられた。PPARβ/δやPPARγの発現はアトピー性皮膚炎では低下していないため、病態への関与は否定的だが、これらの受容体の活性化は有力な治療戦略と成り得ると考えられた。
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