2014 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーは皮膚を紫外線・ストレスによるアポトーシスから防御しているのか?
Project/Area Number |
26461672
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
森山 麻里子 近畿大学, 薬学総合研究所, 准教授 (40595295)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オートファジー / 皮膚表皮 / 形態形成 / アポトーシス / UV / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は表皮形態形成維持におけるBNIP3 の役割を明らかにすることを目的とし、以下の研究を行った。まず、ストレスによるアポトーシスからの表皮保護を解明する目的で、表皮ケラチノサイトにUV照射したところ、ヒト培養表皮ケラチノサイトでBNIP3 の発現が上昇することを見いだした。また、ノックダウン実験によりBNIP3 が抗アポトーシス因子として作用していることを見出した。また、BNIP3が表皮ケラチノサイトにオートファジーならびにマイトファジーを引き起こすことを確認した(Moriyama et al. J Invest Dermatol. 2014)。次に、BNIP3が上昇するメカニズムを探るため、UV照射時にケラチノサイトの酸化ストレス蓄積を測定したところ、UV照射時には酸化ストレスが蓄積することが明らかとなった。そこで、UV照射時に抗酸化物質を添加したところ、BNIP3の発現が抑制されることを見いだした。また、UV照射時に発現が上昇し、BNIP3の発現を制御する可能性のあるHIF1aとp53について検討を行った。HIF1a、p53ともにUV照射時に活性化が認められたものの、これらのノックダウンを行っても、BNIP3の発現に変化は見られなかった。現在は他の因子について検討を行っており、BNIP3の発現を制御する経路を2つ同定している。この解析により、皮膚がUVなどのストレスに対抗するメカニズムが徐々に明らかになっているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮ケラチノサイトにUV照射した際に、BNIP3がどのようなメカニズムで発現上昇するのかを明らかにするという目的に関しては、UV照射の際の酸化ストレス蓄積が一つの引き金であることを明らかとした。また、当初予測していたHIF1aやp53に関しては無関係であることが分かったが、その他の因子について、ほぼ同定しているため、ほぼ目的は達成できたと考えている。 BNIP3がどのようなメカニズムで表皮のアポトーシスを抑制しているのかについては、角化細胞にUV を照射するとオートファジーが亢進し、BNIP3 をノックダウンすることでそのオートファジーが抑制されることを確認している。オートファジーが本当に抗アポトーシスとして働いているのかが今後の課題である。 UV 照射以外のストレスでもBNIP3 は表皮を保護する能力を持つのかについては、UV照射により酸化ストレスがかかることが明らかとなったため、酸化ストレスによってもBNIP3の抗アポトーシス作用が認められたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に同定したBNIP3の発現制御因子に対して、皮膚表皮での発現パターン解析、ChIP解析、プロモーターアッセイなどを行い、直接的制御なのか間接的制御なのかを明らかとしたい。また、UV 照射時における表皮保護作用に、オートファジーが関与しているのかを調べるために、UV 照射時にオートファジー阻害剤を添加、もしくはオートファジー活性化タンパク質であるATG5, ATG7 などをノックダウンし、アポトーシスが上昇するかを調べたい。さらに、酸化ストレスによってもBNIP3の抗アポトーシス作用があることが示唆されたが、実際にBSOなどで酸化ストレスを負荷させた際、BNIP3の発現が上昇するのか、またオートファジーが起こるのかについて明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は生化学的研究を主に行ったため、当初予定していた高額の培養試薬を予定ほど使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高額の培養試薬、ChIP用キットに使用する予定である。
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Research Products
(8 results)