2015 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーは皮膚を紫外線・ストレスによるアポトーシスから防御しているのか?
Project/Area Number |
26461672
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
森山 麻里子 近畿大学, 薬学総合研究所, 准教授 (40595295)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | オートファジー / マイトファジー / 表皮ケラチノサイト / 紫外線照射 / 酸化ストレス / MAPキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は表皮形態維持におけるBNIP3の役割を明らかとすることを目的とし、以下の研究を行った。昨年度までに、表皮ケラチノサイトへUVB照射することで、酸化ストレスを介したBNIP3の発現制御が起こること、またHIF1α、p53はBNIP3の発現を制御していないことを見出していた。今年度は新たにUVB照射による酸化ストレスにより、ERK1/2, JNK MAPキナーゼ経路が活性化することを見出した。そこでそのMAPキナーゼ阻害剤を使用したところ、UVB照射によるBNIP3発現上昇とオートファゴソーム形成が抑制され、cleaved caspase3の発現量が増加した。このことから、UVB照射によるMAPキナーゼ活性化によってBNIP3の発現が制御され、オートファジーを誘起し、細胞を保護していることが示唆された。さらに、表皮ケラチノサイトならびにマウス胎児皮膚へオートファジー阻害剤を添加することにより、UVB照射時におけるアポトーシス細胞死が増悪することから、UVB照射時にはBNIP3が誘起するオートファジーが、表皮ケラチノサイトを細胞死から保護していることが明らかとなった(論文投稿準備中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮ケラチノサイトにUVB照射した際に、BNIP3がどのようなメカニズムで発現上昇するのか明らかにするという目的に関しては、UVB照射時の際の酸化ストレス、さらにはその酸化ストレスによって ERK1/2, JNK MAPキナーゼが活性化し、BNIP3の発現制御に関わっていることを明らかとした。今後はERK1/2, JNK MAPキナーゼがどのようにBNIP3の発現制御に関与するのかより詳細な機能も明らかとしたいが、概ね目的は達成出来たと考えている。 また、BNIP3がどのようなメカニズムで表皮のアポトーシスを制御しているのかについては、オートファジー阻害剤により細胞死が増えることから、オートファジーが重要な役割を果たしていることを明らかに出来た。 UV照射以外のストレスでもBNIP3は表皮を保護する能力を持っているかに関しては、酸化ストレスによってBNIP3が発現誘導されることから、おそらく酸化ストレスによってもBNIP3が誘導され、表皮を保護すると予想される。
|
Strategy for Future Research Activity |
JNK MAPキナーゼはFOXO3aを介してBNIP3の発現を上昇させるという可能性があるため、FOXO3aのノックダウンを行ってBNIP3の発現を調べようと試みた。しかし、他の細胞ではうまくworkしたFOXO3Aノックダウンコンストラクトがなぜか初代ヒト培養ケラチノサイトではうまく働かなかった。そのため、現在Foxo3aノックアウトマウスを入手し、マウス胎児皮膚の器官培養を行い、UVB照射によるBNIP3の発現上昇が解除されるのか確認しようとしている。ここでFoxo3aとBnip3の関連性が確認された場合、ChIPアッセイを行い、Foxo3aがBnip3の発現を直接制御しているのかどうか、明らかとしたい。 また、尋常性乾癬を患う患者の皮膚ではオートファジーが阻害されていることを示唆する研究結果が報告されており、我々も同じような結果を得ている。今後は尋常性乾癬の治療として使われているナローバンドUVB照射とBNIP3の発現、オートファジーの関連性などを調べていきたい。
|
Causes of Carryover |
当該年度に予定していた論文投稿が1ヶ月遅れ、次年度へと繰り越しになってしまった。また、当該年度は分子生物学的な実験が多く、予定していた高額の培養器具、培養試薬への支出が抑えられた。また、次年度へマウス実験をやる予定となり、高額な支出が予想されたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、ノックアウトマウスの維持とその実験のため、マウス飼育関連、手術用器具、免疫染色用の抗体などを購入する。また、引き続き初代ヒトケラチノサイトの培養も行うため、培養試薬や培養器具を購入する。また、論文英文校閲、論文投稿費、論文掲載費に使用する。さらに、国際学会への旅費、参加費を支出する。
|
Research Products
(9 results)
-
[Journal Article] Oct4 plays a crucial role in the maintenance of gefitinib-resistant lung cancer stem cells.2016
Author(s)
Kobayashi I, Takahashi F, Nurwidya F, Nara T, Hashimoto M, Murakami A, Yagishita S, Tajima K, Hidayat M, Shimada N, Suina K, Yoshioka Y, Sasaki S, Moriyama M, Moriyama H, Takahashi K.
-
Journal Title
Biochem Biophys Res Commun.
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-